研究課題/領域番号 |
22K19983
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0102:文学、言語学およびその関連分野
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
馬 長城 北海道大学, 文学研究院, 専門研究員 (30963467)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | アイヌ語 / 類型論 / 継続形式 / 完了形式 / 意味機能 / 中国語 / アスペクト表現 / 「a, kor an, wa an」 / 「在、着、過」 |
研究開始時の研究の概要 |
日本語の視点から、アイヌ語のアスペクト形式「kor an(している)」、「wa an(している)」、「a(た)」の意味機能に対する説明は十分とは言えない。本研究はそれらの形式と類似性を持つ中国語のアスペクト形式「在(している)」、「着(している)」、「過(た)」の視点から、文レベルとテキストレベルを分けて、改めて議論するものである。また、これらのアスペクト形式はテキストレベルで再考する際、構文的に時間副詞と共起する場合に、意味変化が起こる可能性があるので、本研究はそれも合わせて議論する。
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研究実績の概要 |
本研究は広く日本語、英語、中国語などの研究成果を取り入れ、アイヌ語のアスペクト形式「kor an」、「wa an」、「a」の意味機能を再検討するものである。 現在、アイヌ語のいずれの方言においても話者数は少なく、実地調査は極めて困難である。そこで、本研究では実地調査を行う代わりに、これまでに公開されているアイヌ語の言語資料からデータを収集することにした。アイヌ語のデータは雅語で語られる韻文物語と日常語で語られる散文物語に分けられる。本研究は記述的な立場から、散文物語のうち、自然会話に近いuwepeker(昔話)、upaskuma(伝説)、ukoysoytak(会話)の三種類を基礎データとして収集を行った。そして、公開されているアイヌ語の資料のうち、沙流方言の資料は最も豊富であり、また、沙流方言と地理的に近い千歳方言のデータは筆者にとって入手しやすいため、本研究は沙流方言と千歳方言を合わせてデータの収集を行った。 上記で収集したデータを65万字に上るデータベースを作成した。その後、「kor an」、「wa an」、「a」に対して分類と分析を行い、特に「kor an+a」と「wa an+a」が表す可能な意味について考察を行った。その成果を北海道民族学会で発表したあと、内容を修正し、論文化して『北海道言語文化研究』という雑誌へ投稿した。 今後、さらにアイヌ語のデータを収集し、他の言語の成果を取りれ、「kor an」、「wa an」、「a」の意味の検証などを行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請時、アルバイトや非常勤の仕事を見込んで、エフォートを70%に設定したが、実際にアルバイトや非常勤を見つからず、就職もできていなく、時間をほぼ100%この研究に使用した。そのため、まだデータを収集する段階であるが、予定より早めにデータの考察を行った。その成果を学会で発表し、論文化して投稿した。
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今後の研究の推進方策 |
現時点では、研究代表者が収集しているアイヌ語のデータは65万字に上るが、まだまだ少ない方だと思われる。引き続き、アイヌ語のデータを収集する予定である。 また、アイヌ語のアスペクト形式「kor an」、「wa an」、「a」の意味に関する考察は他の言語の研究成果を取り入れ、これより加速して行っていく予定である。関連する成果を学会発表し、論文化して投稿する予定である。
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