研究課題/領域番号 |
22K19998
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0102:文学、言語学およびその関連分野
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研究機関 | 東京福祉大学 |
研究代表者 |
落合 哉人 東京福祉大学, 教育学部, 助教 (00962226)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 「打ちことば」 / CMC研究 / コーパス / 携帯メール / LINE / 絵文字 / スタンプ / Twitter |
研究開始時の研究の概要 |
近年の日本語研究では,コンピュータや携帯電話を用いて産出されたことばを一括して「打ちことば」と呼ぶ動きがあるが,特性の違う複数のメディアにおける言語使用の比較がほとんどなされていないという問題がある.そこで,本研究では2000年代以降の日本で広く利用されてきた携帯メール・LINE・Twitterの発信に着目し,データを比較可能な形で整備したコーパスを構築する.その上で,音声発話による話しことばや書籍等の書きことばと併せて語彙の出現傾向を比較することで,日本語において「打ちことば」と呼び得る一定の言語使用上の特徴が,話しことばや書きことばと独立する形で見いだせるかどうか詳細に検証する.
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研究実績の概要 |
2022年度は、既に収集済みである携帯メール・LINE・対面会話・電話の各談話データを、コーパスとして統一的に扱うにあたって再整理し、(a)1発話に含まれる言語量や特徴語の抽出を行ったほか、(b)通信技術の発展とそれに関連する国内外の研究についてさらなる情報収集を行った。 (a)については本研究課題申請の時点で分析済みであった言語量について、より厳密な形態素解析に基づき検証を行い、同じくComputer-Mediated Communication(CMC)である携帯メールとLINEで音声発話と比べても1発話あたりの言語量が大きく異なること、また、その背後に既読表示と表示形式の違いがあることを明らかにした。同様に、具体的な(非)言語的要素としては指示詞と視覚的要素(スタンプ・絵文字)について分析を行い、ともに携帯メールからLINEへの移行に伴って、コ系の現場指示の増加や示される感情表現の増加等、より対面会話に近づく変化が見られることを確認した。 (b)については携帯メールとLINEを中心に、通信事業者等が公開してきた情報を広く収集し、1999年以降の各年において機能がどのように更新されていったか整理を行った(これは言語使用とメディアとの機能の関わりを分析するにあたって、各談話資料収集時点で利用可能である機能に関して精査する必要があるためである)。また、特にテキストベースのCMCに関して国内外の研究の文献調査を行い、日本語研究において視覚的要素の分析は諸外国より進んでいる一方、表記の問題として整理されやすい(=意味までは検討が行き届かない)難点もあり、より正確な実態把握の上で視覚的要素も具体的な言語表現として整理することが有効であることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題申請当初は1年目にTwitterのデータの収集を行い、2年目に特徴語の分析を行う予定であった。ただし、所属機関の研究倫理審査が長引いたため、先に既に収集済みのデータについて特徴語の分析を行った(Twitterのデータの収集については2年目現在進行中である)。このように、やや計画が前後する部分はあるものの、当初の研究計画通り言語使用の分析は着実に進んでいるほか、視覚的要素について再分析する必要性が見出されたことで半ば非言語的な要素も含めた、より包括的な検討を行うことができた。したがって研究はおおむね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は、Twitterのデータの収集を完了するとともに2022年度に整理したデータと比較可能な形でデータを整理することで、CMCコーパスを完成させる。また、既に先行して分析している言語量や特徴語についてコーパス内で比較を行うことで、「打ちことば」の共通性と多様性を明らかにし、機能的特性との関連に関して吟味する。同様に、得られた研究成果については国内外の学会で発表するとともに、学術雑誌に論文を投稿することで外部の声を取り入れ、さらなる研究の発展の足がかりとする。
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