研究課題/領域番号 |
22K20005
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0102:文学、言語学およびその関連分野
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研究機関 | 清泉女学院大学 (2023) 金沢学院大学 (2022) |
研究代表者 |
村松 直子 清泉女学院大学, 人間学部, 講師 (00757528)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 比較文化語用論 / 日本語語用論 / 事態把握認知 / 対人配慮 / 配慮表現 / コミュニケーションスタイル / 談話分析 / ポライトネスストラテジー / 語用論 / 事態把握 / ポライトネス / 異文化コミュニケーション |
研究開始時の研究の概要 |
日・英語の中間言語語用論研究および比較文化語用論研究では、過去40年にわたり母語話者と外国語話者の発話スタイルに関する研究が成されてきた。一方で、発話者の事態把握認知や対人配慮の有り様に関しては殆ど研究されていない。そこで本研究では、(1)日本語母語話者が発話場面で起こっていることをどのように事態把握しているか、(2)英語母語話者が発話場面で起こっていることをどのように事態把握しているか、(3)日本語母語話者と英語母語話者が発話場面で起こっていることを事態把握した後に、どのように対人配慮を行い、発話スタイルを選択しているかという3点について、質的量的調査と文献調査を実施し、解明する。
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研究実績の概要 |
従来の日・英語の語用論研究は、様々なスピーチアクトのなかで産出された発話パターンおよび定型的な表現についての量的研究を中心とするものであり、事態把握認知や対人配慮など、発話者の意識や意図にも焦点を当てた調査研究は殆ど実施されてこなかった。そこで本研究では、1.日本本語母語話者が日本社会の中で人間関係を含む様々な事象をどのように認知しながら、日・英語による発話場面で起こっている事態を把握しているのか、2.英語母語話者が英語圏社会の中で人間関係を含む様々な事象をどのように認知しながら、英語による発話場面で起こっている事態を把握しているのか、3.日本語母語話者と英語母語話者がなにに対してどのように配慮を行い、発話スタイル(内容と言葉遣い)を選択しているのかという三点について、実態解明することを目標としている。発話データの収集には談話完成試験とロールプレイを用い、事態把握認知と対人配慮の調査には、エスノグラフィックインタビューを用い、データ分析には、談話分析等の手法を用いている。昨年度は、コロナウィルス感染拡大の影響により日・英語母語話者を対象とする調査を実施することが困難であったため、主に文献調査を行った。本年度は、国内におけるコロナウィルス感染症の扱いが2類から5類に移行したことから、日本語話者を対象とする調査を実施した。インタビューデータは録音したものを文字化してから談話分析を行った。そして、日本語話者が会話場面において人間関係や事柄をどのように意識し、それに応じていかに発話スタイルを選択しているかについて分析考察して、学会発表と論文発表を行った。また、日本語母語話者の事態把握認知、対人配慮、発話スタイル選択の関係性を示すフローチャート案を作成した。今後は、同案の妥当性を検証するための追加調査を実施するほか、英語母語話者の言語使用と意識に関する調査研究を実施する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウィルス感染がまだ収束していないことから、海外における英語母語話者を対象とする量的質的調査を実施することが不可能となったため。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、次の3点の調査および分析考察を行う予定である。1.これまでに収集した日本語母語話者の調査データを基に作成した、日本語話者の事態把握認知、対人配慮、発話スタイル選択の相関関係を示すフローチャート(仮案)の妥当性を検証するために追加調査を実施する。2.英語母語話者の事態把握認知、対人配慮、発話スタイル選択の実態とそれら3者の相関関係についての量的質的調査を実施する。3.1と2の調査結果を比較文化語用論および比較文化の観点から分析考察する。それにより、これまで踏み込んだ研究が十分に行われていない日本語と英語の発話スタイルを下支えする心遣いや意識の実態調査を実施し、両言語とそれらの母語話者の深層文化について追究することを目指す。
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