研究課題/領域番号 |
22K20011
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0102:文学、言語学およびその関連分野
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
任 霞 関西学院大学, 言語コミュニケーション文化研究科, 大学院奨励研究員 (70963825)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 受身文 / 他動詞 / 非対格動詞 / 非能格動詞 / 日本語学習者 / 誤用 / 中国語 / 存在構文 / 中国語母語話者日本語学習者 / 誤用のメカニズム / 事態把握 / 学習者コーパス |
研究開始時の研究の概要 |
日本語受身文の誤用は中国語母語話者日本語学習者の学習プロセスにおいて非常によく見られる誤用のうちの一つである。これまで限られた数の誤用例を対象に行われた研究や、何十種類もある具体的な動詞意味によって誤用例を分類している研究が蓄積されてきた。本研究は大規模な学習者コーパスから収集した大量の誤用例を研究対象として、他動詞、非対格動詞、非能格動詞という動詞分類と認知言語学の理論を援用することにより、中国語母語話者日本語学習者の受身文の誤用傾向とメカニズムを解明し、日本語教育現場及び中国語教育現場への提言を試みる。
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研究成果の概要 |
本研究の目標は日本語学習者による受身文の誤用の傾向及び誤用が生起するメカニズムを解明することである。大規模な学習者作文コーパスから受身文の誤用を抽出し、他動詞、非能格自動詞、非対格自動詞という動詞分類法を踏まえ、学習者の受身文の誤用を分類し、誤用の全体像と傾向を明らかにした。その上で、統語的制約、意味的制約と話者の事態の捉え方から誤用の要因を探り、中国語の受身表現との異同を考慮に入れ、誤用のメカニズムを解明した。さらに誤用のメカニズムに基づき、日本語教育現場における受身文の指導法の提言を試みた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究では豊富な誤用データを利用し、他動詞、非能格動詞、非対各動詞という統語的動詞分類法に基づく誤用の傾向とメカニズムについて考察した上で、中国語の受身文との相違を考慮に入れた誤用のメカニズムを探った。このような分析のほうが、個別例を対象に行われた研究や動詞の何十種類もある具体的な意味による誤用の分類より、学習者にとって分かりやすく一般化しやすい説明になる。また、母語干渉の可能性が高い誤用とそうではない誤用を明確にさせたこと、日中両言語の受身の非対応現象が生じるメカニズムを解明したことで、日本語教育現場にも中国語教育現場にも実用性が高い研究成果になると考えられる。
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