研究課題/領域番号 |
22K20016
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0102:文学、言語学およびその関連分野
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
松浦 高志 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 助教 (70963114)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 韻律 / 叙事詩 / アクセント / Hermannの法則 / 定動詞のアクセント / 接語 / 句読点 / ミュケーナイ・ギリシア語 / ミュケーナイ文明期ギリシア語 / ギリシア語歴史言語学 / 古代ギリシア語のアクセント / ギリシア語初期叙事詩 / ギリシア語碑文 / ギリシャ語 |
研究開始時の研究の概要 |
ホメーロスの叙事詩『イーリアス』『オデュッセイア』(紀元前8世紀頃)などで用いられている,古いギリシア語の特徴の一端を明らかにします.これにはすでに二千年以上の研究の歴史がありますが,実は作られた当時のギリシア語とまったく同じかどうかはわかりません.申請者は博士論文で,ギリシア語の定動詞がアクセントをもたず,前の単語と一緒に発音されていたことを古い碑文資料をもとに明確に示しましたが,これを用いるなどして古いギリシア語の特徴のいくつかを新しく示すことができると考えています.
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研究成果の概要 |
ホメーロス『イーリアス』『オデュッセイア』に代表されるギリシア語の初期叙事詩には,詩行中の特定の位置(第四歩格の最初の短音節の後)には単語末が置かれない,というHermannの法則が適用されます.この例外は0.28%程度(78例程度)と,もともと大変少ないですが,碑文において定動詞などが前(後)の単語と連続して発音されていた可能性が高いことを根拠に,これらの例外のうちの多くが本当の意味での単語末とみなさなくてもよいことを示し,例外を0.075%程度(21例程度)まで減らすことができました.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
Hermannの法則に違反する詩行は従来,(1)その位置の前後にも単語末が置かれているので,違反している位置に単語末が置かれていることによる違和感が緩和されている,あるいは,(2)その詩行が意図的にぎこちない詩行としてつくられていると説明されてきましたが,違反するとされてきた詩行のうちの多くが,実は違反しておらず,これらの説明が必要でないことが示されたことになります.これにより,ホメーロスら叙事詩人が,どのような詩行を美しいと考えて,単語を詩行中に配置していったのか,叙事詩の作詩法の一端をより明らかにすることができたと考えます.
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