研究課題/領域番号 |
22K20022
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0102:文学、言語学およびその関連分野
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
竹下 哲文 京都大学, 文学研究科, 助教 (80965327)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
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キーワード | 西洋古典学 / ラテン文学 / オウィディウス / 恋愛詩 / 『恋の技術』 / 教訓詩 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は,ローマ帝政初期に活動したラテン詩人オウィディウス(前43-後18)の『恋の技術』及び『恋の治療法』における「環」のモチーフの諸相を明らかにすることを目指すものである.「恋の技術」と「恋から抜け出る技術」を主題化するという特異なスタンスで書かれたこの二作は,恋愛詩や教訓詩(知識の伝授という形式で詩を綴るジャンル)の伝統を汲んで書かれた分野横断的な作品である.本研究は,こうした複雑な性格を持つ『恋の技術』と『恋の治療法』を捉える手がかりとして「環」のモチーフに着目し,文芸批評的な見地にとどまらず本文批判的な問題にも目を配る多角的なアプローチを試みる.
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研究成果の概要 |
本研究では,アウグストゥス時代のローマを代表する詩人オウィディウスの『恋の技術』および『恋の治療法』を対象として,そこに様々な形で表された「環」のモチーフの調査と分析を行なった.「世界(ないし環)」(orbis)と「都市」(urbs)との言葉遊び的関連付けや,作中に見られる円環構造(ring-composition)といった「環」に関連するモチーフが,「(円環)世界・都市・円形劇場」という三重円を舞台として行なわれる「遊戯としての恋愛」という本作の核心的アイディアの展開に寄与していることを明らかにした.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
恋愛詩や専門知識を主題とする教訓詩(didactic poetry)といった既存のジャンルを自由に横断しつつパロディを交えて創作を行なうオウィディウスという詩人を理解するにあたりキーとなる『恋の技術』という作品について,個別の語彙のみならず叙述の構造にも着目しつつ彼の詩的技法を明らかにすることができた.また本文の一部について写本の読みの有力さを改めて論じるなど新しい提案を行なった.
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