研究課題/領域番号 |
22K20026
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0102:文学、言語学およびその関連分野
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研究機関 | 実践女子大学 |
研究代表者 |
軽部 利恵 実践女子大学, 文学部, 助教 (50968237)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 万葉仮名 / 表記 / 唐招提寺文書 / 木簡 / 万葉集 / 仏足石歌 / 奈良時代 / 漢字 / 仮名 / 資料性 / 文字 / 上代文献 / 文字表記 / 一次資料 |
研究開始時の研究の概要 |
奈良時代は、漢字のみで読み書きが行われていた。漢字の音を用いて、表音的に日本語をあらわす文字は、「万葉仮名」と呼ばれる。本研究では、奈良時代の、仮名(万葉仮名)書きを含む文書を研究対象として、文字資料のメディアとしての性格と文字表記の現れ方の関係性を包括的に検討し、奈良時代の文字資料における「資料性」を明確に記述することを目指す。仮名の表記は、漢文の型からはみ出た文章・文体であることの一つの指標と捉えることが可能である。奈良県唐招提寺に現存する「家屋資財請返解案」の文章をメインの分析対象とし、他にも、仮名の混じる「他田日奉部直神護解」「有年申文」などの一次資料を視野に入れ、研究を行う。
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研究成果の概要 |
本研究では、仮名の含まれる奈良時代のテキストをめぐって、記述される意味内容およびそのテキストが受信・享受されるシチュエーションを検討したうえで、テキストに現れる文字・表記の様相との関連性を考察した。(1)唐招提寺文書「家屋資財請返解案」をめぐっては、記載される内容と表記スタイルとの関連性を明らかにした。(2)上代特殊仮名遣いの「違例」をめぐっては、表記上における「違例」の現れ方と、各文献の享受のされ方との関連を考察した。紙の文書および、出土資料としての木簡、石に歌が刻まれた仏足石歌、編纂されたものとしての万葉集をめぐって、文字・表記から「資料性」を記述した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究から、文字・表記・文章の表記スタイルと、テキストの意味内容・テキストが活用され享受されるシチュエーションとの関連性がうかがわれた。このことは、ことばが文字によって書かれる際に、書かれるシチュエーション、その用途、記述される意味内容に応じて、文字・表記の現れ方が異なってくることを意味するものである。漢字のみで読み書きされた奈良時代以前においても、書かれる場や書かれる内容に応じて、表記スタイルが選択されたのではないかということが示唆される。
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