研究課題/領域番号 |
22K20030
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0102:文学、言語学およびその関連分野
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研究機関 | 藤女子大学 |
研究代表者 |
井川 詩織 藤女子大学, 文学部, 講師 (10962889)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 統語論 / 形態論 / 束縛条件 / 長距離束縛 / 再帰代名詞 / 束縛理論 / 自分 / 意識主体性 / 束縛条件A |
研究開始時の研究の概要 |
日本語において、再帰代名詞「自分」は、他の再帰代名詞(「自分自身」)とは異なり、節をまたいで先行詞をとることができると言われている。近年の研究では、「自分」がそのような振舞いを見せるメカニズムについての分析は進んできたものの、その他の再帰代名詞と比較してなぜ「自分」のみがそのようなふるまいを見せるのかと言う点は、十分に明らかにされていない。 本研究は、再帰代名詞の語形に着目することで、再帰代名詞間のふるまいの差を説明することを目指す。第一フェーズとして、日本語の再帰代名詞を分析し、第二フェーズとして、その結果を他言語のデータにも敷衍することでより普遍的な分析の構築を目指す。
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研究成果の概要 |
一部の再帰代名詞は、ある一定の解釈のもとで別な節から先行詞を選択することができる(長距離束縛を許す)と言われている。本研究の目的は、特に長距離束縛が起きるメカニズムの分析についての近年の発展を念頭におき、ある再帰代名詞が長距離束縛を許すかどうかがどのように決まっているのかを明らかにすることであった。研究期間全体を通して、主に日本語の再帰代名詞「自分」「自分自身」「彼/彼女自身」の分析を行い、更にその分析を他言語における再帰代名詞のふるまいに適用できるか調査を行った。以上の分析をもとに、特定の内部構造をもった再帰代名詞のみが、上記のようなふるまいを見せると主張するに至った。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
長距離束縛は、1980年代から継続して議論されてきた現象であり、特に意識主体性という意味的な性質から近年改めて注目されている現象でもある。本研究は、長距離束縛のメカニズムの分析の発展を踏まえて、改めて長距離束縛を許す再帰代名詞と許さない再帰代名詞の性質の違いを問い直している。これにより、(i)経験的には、日本語のふるまいについても言語類型論的な観点からも、より精緻で正確な予測を行うことができるようになり、(ii)理論的には(a)近年の長距離束縛の分析にさらなる証拠を与えつつ、(b)フェーズ理論や束縛条件といった統語理論の中核をなす要素についても知見を与えた。
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