研究課題/領域番号 |
22K20034
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0102:文学、言語学およびその関連分野
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研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
小野原 彩香 立教大学, 社会情報教育研究センター, 助教 (70792381)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | language evolution / cooperative behavior / accent / cultural evolution / Japanese Accent / Game Theory / Dictator Game / Trust Game / Coordination Game / in-group bias |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、アクセントの生態的な機能・役割を発達初期に会得される「原始的な協力行動」の「手掛かり」と仮定し、ヒトが何らかのアクセントを聞いた時に、それを手掛かりにして、協力行動を行うかどうかを日本語話者を対象に実験する。実験協力者に自らと「A. 同じアクセント」と「B. 違うアクセント」の2種類を聞かせたのち、3種類のゲーム理論内で、A、Bのどちらへ協力(協調)行動を取るかを計測する。アクセントが協力行動の手掛かりとして機能しているのであれば、日本列島に数多く存在するアクセント型は、ヒトの原始的な自然選択による最適化のための協力行動の結果であると結論付けることができる。
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研究成果の概要 |
本研究は、アクセントが内集団バイアスに与える影響を調査することを目的としている。実験参加者に同じアクセントと異なるアクセントの声を聞かせ、独裁者ゲーム、信頼ゲーム、調整ゲームを用いて、どちらのアクセントの者に対して協力行動を示すかを分析する。これにより、日本列島のアクセントが自然選択による協力行動の最適化を反映しているかを検討する。 初年度は2018年のデータ整理を行い、2年目はオンラインでの実験準備を進めた。コロナ後はオンラインインフラを活用し、サンプルサイズを拡大。今後は実験実施後、結果に基づいて分析を進める。この分析手法を応用し地理情報システム学会のポスター賞を受賞した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
この研究は、アクセントが社会的な協力行動に及ぼす影響を実証的に解明しようとしている。言語学、心理学、進化生物学の知見を統合し、新たな学際的研究領域を切り開く可能性がある。また、日本列島のアクセントの多様性が、自然選択による適応の結果である可能性を示唆しており、言語の進化的起源についての理解を深める貢献が期待される。 社会的には、アクセントによる内集団バイアスの存在が明らかになれば、方言差別などの問題の背景にあるメカニズムの理解につながり、偏見の解消や多様性の尊重に寄与する可能性がある。また、オンラインインフラを活用した大規模データ収集は、ポストコロナ時代の新しい研究手法としてモデルケースになる。
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