研究課題/領域番号 |
22K20045
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0103:歴史学、考古学、博物館学およびその関連分野
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
陳 希 東京大学, 大学院総合文化研究科, 特任研究員 (70965590)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 中華民国 / 国語形成 / 標準音 / 読音統一会 / 中華民国期 / 成立過程 |
研究開始時の研究の概要 |
読音統一会は中華民国成立の直後、1913年に北京で開かれた国語関係の会議であり、近代中国の標準音の成立において大きな役割を果たした。本研究は、新しい史料の発掘と読解を通して、読音統一会に現れた標準音をめぐる言説を再考した上で、読音統一会がどのような政治的・社会的・思想的背景の下で展開され、また近代中国の国語成立の過程においてどのような歴史的役割を担ったのかを実証的に解明するものである。
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研究実績の概要 |
中国において標準語・標準音の制定が本格的に始まったのは、1913年に行われた読音統一会であった。本研究は、中華民国初期における標準音の成立過程を明らかにするために、以下の二点を目的として研究活動をおこなっている。 第一に、近代中国における国語形成の過程において、読音統一会がどのような政治的・社会的・思想的背景の下で展開され、どのような歴史的役割を担ったのかを実証的に解明することである。第二に、読音統一会が清朝末期の国語計画やその後の中華民国期の国語運動・施策とどのような関係にあったのかを分析し、近代中国の国語形成の構造について詳細に解明することである。 2022年度8月末時点(2022年9月~2023年4月末、研究中断)で、研究計画書に沿って、以下の研究をおこなった。 第一の目的に関しては、上海図書館や北京国家図書館など国外での資料調査を実施する予定であったが、新型コロナウイルス拡大の影響で渡航が難しく、実施には至らなかった。その代わりに、既に入手済みの関連資料を駆使し、読音統一会の歴史的背景と人的ネットワークについて分析をおこなった。 第二の目的に関しては、これまでの研究成果を踏まえたうえで、清朝末期の国語運動の立役者である労乃宣の活動を事例に、清朝末期の国語運動と立憲運動とのかかわりについて論文の執筆をおこなった。それにより、清朝末期の国語運動と立憲運動の関わりは概ね解明され、清朝末期の国語計画の実態も浮き彫りになっている。だが、第一子の妊娠・出産により、2022年9月より研究を中断せざるをえなかった。今後は、日本国内のほか、国外(北京・上海・台北)で調査する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
上述の通り、第一子の妊娠・出産および育児のため、2022年度9月~2023年4月末まで研究活動を中断することとなったため、その期間に予定していた研究活動は次年度以降に持ち越す。 2022年8月末時点では、これまでの近代中国の国語形成史における研究成果をまとめ、論文の執筆を行った。その結果、学会誌の研究論文として掲載された。該当論文は「第19回太田勝洪記念中国学術研究賞」を受賞した。 また、入手済みの資料を使い、読音統一会で活躍した人物の人的ネットワークについて検討し、論文を執筆している。
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今後の研究の推進方策 |
2023年4月からは、第一子も保育園に入園したため、研究活動を再開できた。今後は、研究計画書に沿って順次進めていく予定である。具体的には、研究中断に伴って繰り越しとなった研究については、研究実施期間中に執筆した論文の内容を整理し、学術論文として公表する。それにより、これまで注目されてこなかった読音統一会の政治的・社会的・思想的背景を明らかにしたい。これに加えて、日本国内(東京・京都)および海外(上海・北京)の档案資料などを使い、読音統一会の全貌を解明し、中華民国の標準音の成立過程について明らかにしたい。
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