研究課題/領域番号 |
22K20046
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0103:歴史学、考古学、博物館学およびその関連分野
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
水林 純 一橋大学, 大学院社会学研究科, 特任講師(ジュニアフェロー) (30961990)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 戦国期 / 16世紀 / 一揆 / 土豪 / 村落 / 国衆 / 地域権力 / 戦国期村落 / 土豪層 / 中世・近世移行期 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、日本近世の形成に当たって再編成の対象となった戦国期社会の構造を地域権力の視点から深めること、また、その作業を通じて、中世から近世への移行に当たり、いかなる秩序が新たに形成され、それとは異なるいかなる秩序が否定・解体されたのかという問題を解明することを目的とする。対象とする地域権力は、畿内近国の一揆(土豪層・領主層が、互いの対等な地位を認め合いつつ、誓約により形成したコミューン型の権力)である。具体的には、(ⅰ)一揆が地域において果たした社会的職務の具体像と、(ⅱ)戦国大名など他の地域権力と比較した場合のその特色、(ⅲ)15世紀後半から17世紀初期にかけてのその消長の過程を探究する。
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研究成果の概要 |
本研究では、伊勢国一志郡小倭郷と駿河国駿東郡口野郷をフィールドとして、戦国期における土豪層の歴史的性格について分析を行った。その結果、以下に述べる知見を得ることができた。 (1)小倭郷の土豪層は、独自の私領支配を展開する自律的な小領主であった。彼らは、土豪相互の所領争いを判定的・協定的に解決するための法秩序を実現しており、そこには、一揆的地域権力の特色が強く表れている。 (2)戦国前中期における口野郷の土豪植松氏は、独自の所領・人民支配を自力で行う存在であり、その性格は、国衆権力(葛山氏)によっても破られなかった。しかし、彼らは後に、戦国大名権力(北条氏)の影響下、自律性を喪失することとなった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
これまでの戦国期研究において、戦国大名ら地域権力の支配体制(大名による領国の一元支配)や、その下での在地社会のあり方(村請制を介した、大名による村落団体の統治・管轄)は、しばしば近世社会の性格を先取りするものとされてきた。他方、本研究は、それとは異なる側面、すなわち、後の近世社会では主流となり得なかった、戦国期固有の地域秩序を明らかにするものとなった。土豪層による共和的な地域統治である一揆体制、および国衆支配下における土豪層の存在形態(自律的な領主制)の具体的解明がそれに当たるが、これらの成果は、当該期の地域社会の中で育まれた、いわば「未発の契機」に光を当てる点で、一定の意義をもつであろう。
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