研究課題/領域番号 |
22K20047
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0103:歴史学、考古学、博物館学およびその関連分野
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
尹 国花 一橋大学, 大学院経済学研究科, 特任助教 (70962041)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 間島省臨時政府 / 朝鮮人 / 中国民族政策 / 中国共産党 / 民族政策 / 中国東北地方 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、第2次世界大戦後ソ連軍が中国延辺地方に発足させた間島省臨時政府による各種政策及び朝鮮人指導層の活動を具体的に分析することを通じて、中国共産党が浸透する以前における延辺社会の動向を分析するものである。 複雑な国内外の情勢の影響を受け、中国・ソ連・朝鮮北部による主導権争奪の場ともなっていた延辺地方は「満洲国」政権から中国国民党系の臨時政府、さらに中国共産党政権へと政権の担い手がめまぐるしく変遷した。当時期の延辺社会情勢を明らかにすることは中国共産党の民族政策研究及び東アジアの政治的情勢の歴史的変遷と、現在の東アジアの国際関係を解明する一助にもなりうる。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、戦後初期に樹立された間島省臨時政府の政策と朝鮮人指導層の動向に着目し、間島省臨時政府が中共政権に代替された原因を解明すると同時に、中国共産党の民族地域への浸透過程とその特徴を明らかにするものである。 本研究では、① 第2次世界大戦前後における延辺の社会状況と間島省臨時政府の発足、② 間島省臨時政府の正式政府への試みと解散、という2つの小課題を設けて分析を進めており、以下では2022年度の研究実績を史料整理と成果発表の2点に分けて説明する。 まず史料整理についてである。本研究では戦後延辺で発行された朝鮮語新聞『韓民日報』『延辺民報』『東北朝鮮人民報』などを使用する。これらの朝鮮語新聞は、当時の延辺社会の様相を伝える記事が多く、当該時期の延辺社会を分析するうえで有用な史料である。同時に、戦後の延辺地方の実態を明らかにするためには、中国東北地方の県級レヴェルにおける档案史料の読解作業も欠かせない。2022年度にはこれらの新聞と档案史料の整理・分析を行った。具体的には、新聞の記事目録作成と革命歴史档案の年ごとの整理と分野ごとの整理、および読解を行った。ただ、その量が多いため、今後も継続して整理分析を行う予定である。 次に成果発表についてである。2022年度は、関連成果を三田史学会と近現代東北アジア地域史研究会において研究報告を行い、いただいたコメントや意見を反映し、学術論文を執筆・投稿し、掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度は中国や台湾、韓国における現地調査の実施を予定していたが、各国政府の入国管理方針により、国外における現地調査を実施することができなくなった。そのため、2022年度はすでに入手している新聞や档案史料の整理と読解を主に行うことで、今後の研究に対する基礎的土台を作った。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度には、2022年度に引き続き、未整理の史料整理およびその読解を進める。また、現地調査を再開し、不足する文献史料を収集するとともに、中国東北地方各地の文史資料も収集して延辺地方の文史資料と組み合わせて検証することで、単一の史資料の使用から生じる歴史事実の偏差を避ける。また、国内においても、滋賀大学経済経営研究所の満洲引揚史料マイクロフィルムを確認し、終戦当時の延辺地方における日本人の状況および留用日本人をめぐる中共の各種政策に着目することで、中国共産党が実施した民族政策や当該地域をめぐる国際環境の影響について研究を進めていきたい。
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