研究課題/領域番号 |
22K20054
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0103:歴史学、考古学、博物館学およびその関連分野
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研究機関 | 東北学院大学 |
研究代表者 |
多賀 良寛 東北学院大学, 文学部, 講師 (20963391)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 阮朝 / 開港 / 交易秩序 / アジア間交易 / 海関 / 自由貿易 / ハイフォン / 茶里 / 銅 / ベトナム / 19世紀 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、19世紀後半のベトナムにおける交易秩序の変容を、開港という歴史的出来事に着目して明らかにするものである。具体的には、1874年に仏越間で締結された第二次サイゴン条約による開港を取り上げる。条約港の設置が阮朝の交易管理体制に与えた影響を、仏越が合同で管理する海関の導入過程から分析し、また開港による交易パターンの持続と変化を、華人商人の活動や沿岸貿易の成長に注目して考察する。
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研究成果の概要 |
本研究では、1870年代の開港がベトナムの交易秩序にもたらした変化を、ベトナム・フランス両国の公文書館に所蔵されている未公刊史料から分析した。その結果、開港後も対外交易における華人の優位性は揺らがなかったこと、またフランスが対外交易を開港場に集中させるべく、非開港場での在来交易に強く干渉していた事実が明らかになった。このほか開港場に設置された海関の収支状況や、海関運営に携わっていたベトナム人キリスト教徒の存在にも光を充てることができた。さらに開港後ハイフォンに日本銅が輸入されていた事実を発掘し、開港がアジア間貿易の活性化に繋がっていたことを示した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は、従来ほとんど研究されてこなかった近代ベトナムにおける開港の問題を、未公刊史料から実証的に検討した点に大きな学術的意義がある。漢文とフランス語の文書を対照させるマルチアーカイブ・マルチリンガルな分析手法は、世界的に画期的なものと言えよう。また華人の交易活動、海関の設置、アジア間貿易の活性化といった視点から、ベトナムの開港を比較史のより広い文脈に位置付けることができた。これにより、本研究は狭義のベトナム史のみならず、アジア経済史、グローバル・ヒストリーの面でも大きな社会的意義を持つものとなった。
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