研究課題/領域番号 |
22K20058
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0103:歴史学、考古学、博物館学およびその関連分野
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
洪 昌極 東京理科大学, 教養教育研究院葛飾キャンパス教養部, 助教 (40964763)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 工業 / 河川 / 農業 / 水利 / 経済 / 土地制度 / 地主制度 / 朝鮮 / 開発 / 土地 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、朝鮮東北部咸鏡南道に位置する赴戦江・長津江・城川江(同一の水系)への河川開発の史的展開と河川流域社会の社会変容について考察するものである。同河川開発は、朝鮮産米増殖計画」(1920~1934年)の末期におこなわれた農業開発事業であるとともに、30年代に本格的に始動する工業開発のための水力発電事業の出発点であった。また、上流に位置する赴戦江・長津江に巨大ダム及び水力発電所を設置し、下流に位置する城川江の河川水によって市街地の生活用水並びに農業用水を確保する計画の下、在来河川の水利体系を抜本的に再編するという大規模事業であった。
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研究実績の概要 |
2022年度は、東京都板橋区にある野口研究所と国立公文書館において史料収集をおこないました。野口研究所は、本研究で取り上げる河川開発を工業会社の立場から遂行した日本窒素グループの経営資料が所蔵されており有用性が高い。国立公文書館には、日本敗戦時の「閉鎖機関」の内部資料が所蔵されており、その中に河川開発を農事会社の立場から遂行した東洋拓殖株式会社の資料が含まれているためこちらも有用性が高い。 上記の収集資料をもとに、資料の整理・分析を進めた。テーマとしては当初の予定通り、河川開発の【計画立案・遂行課程】と【土地所有関係と水利権の再編課程】についての考察を深めることができた。前者については、河川事業の立案課程において、農・工業会社と地方行政の事前の談合とその内実を表す資料を発見した。後者については、水利組合内部の土地所有構成の変動が具体的に知りうる貴重な資料を発見できた。水利組合内部の土地所有構成については、これまで資料上の制約により知り得ない点が多かったが、当該資料の発見は研究史上で画期的な意味を持っている。 【土地所有関係と水利権の再編課程】については、朝鮮史研究会関西部会2月例会にて「植民地期朝鮮水利組合事業区域内の民族別土地所有構造の変動に関する一考察:産米増殖「更新計画」期を中心に」として研究の途中経過を報告することができた。ここでは、土地所有構造を農業経営史との関連で分析を深めるべきであるというコメントをいただいたが、多くの示唆を得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
・計画していた資料収集を予定通り実行し、想定していた資料内容を確認できた。 ・収集資料をもとに研究課題を概ね遂行し、学会発表をおこなった結果、大変実りあるコメントをいただいたため、研究目標を達成する見通しがついた。
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今後の研究の推進方策 |
・東京・京都・北海道・九州、 韓国での史料の収集 まず、旧帝国 大学である東京大学・京都大学・北海道大学・九州大学 付属図書館 において農 事 関 連史料を調査する。 旧帝国大学 付属図書館 には、 植民地朝鮮 においておこなわれた農村調査及び農業試験場 記録などが多く所蔵されている。 次に、韓国の ソウル中央地方法院において、 河川開発に関連する民事訴訟関係史料を収集する。 ・上記 ( の作業と同時並行で、 【農業生産構造の再編過程】 及び 【 地方行政機構と国策事業の関係 】の分析をおこなう。 ・研究成果をまとめ、学会誌に投稿する。
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