研究課題/領域番号 |
22K20059
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0103:歴史学、考古学、博物館学およびその関連分野
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
高橋 謙公 早稲田大学, 文学学術院, 助教 (50961596)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 中世地中海史 / 海域史 / シチリア王国史 / マジョルカ王国史 / サルデーニャ王国史 / 地中海世界 / 海域国家 / マジョルカ王国 / サルデーニャ島 / マグリブ |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、13世紀から15世紀までの地中海世界において、海域を利用することで権力を構築した複数の国家の政策や制度を調査し、それらの比較分析を通じて陸域の国家とは異なる、前近代地中海世界における海域国家論を展開する。本研究では、その事例研究として、シチリア島、バレアレス諸島、サルデーニャ島、マグリブにおける海事行政を比較分析し、前近代地中海世界における海域国家のあり方を明らかにする。上記を踏まえ、海域国家が海上に形成する境域空間に及ぼす政治的・商業経済的な影響を考察する。これらの分析・考察から醸成される海域国家論や「海上境域」の実態は、海域とヒトとの関係やその営為の解像度を高めることなるだろう。
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研究実績の概要 |
2022年度は二回の学会報告を通じて研究を進展させることができた。第一に国外での学会報告として、7月4日にイギリス・リーズ大学で開かれた国際中世学会(Leeds International Medieval Congress)にて"Maritime Security around the Insular Kingdom of Sicily after the Sicilian Vespers (1282) "というタイトルで海上権力を構成する要素である海上安危の管理についての報告を行なった。特にシチリア王国の国王、役人、公証人と諸外国間に見られる相互扶助を目的とした交渉や契約に注目し、地中海中部域における「集団的な安全保障」を前提とした海域社会を示した。 第二に国内での学会報告として、11月3日に京都大学で開かれた京都大学読書会大会西洋史部会において、「中世後期シチリア王国/島王国における暴力の統制と海域秩序 -シチリア海域の境域性と海事掠奪制度から-」というタイトルで、海上リスクの一例として海上掠奪に関する報告を行なった。本報告では、地中海中部域においてシチリア王国が主体的に海域のリスクを高めるとともに、港湾での施策を通じて同盟者の安全を保障することで、同王国が積極的に海上での権力を構築する様相を指摘した。 2022年度において海外調査を行うことができなかったため、スペイン・イタリアの文書館史料を用いることはできなかった。2023年度では調査を行い、マジョルカ王国とサルデーニャ王国という異なる島国を対象とし、海域国家論の展開を試みる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年度における進捗状況として、やや遅れている。理由としては所属の変更とともに生活環境に大きな変化が生じたためである。新任地への着任手続き等により本来予定していた海外調査が行えず、調査は次年度に持ち越しとなってしまった。 しかし海外での学会報告を通じて交流した際に、マジョルカ島やサルデーニャ島の史料状況についてヒアリングをすることができた。また海外での調査は叶わなかったものの、これまで蒐集した史料や研究文献を読む時間を取ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度に海外調査ができなかった分、2023年度は二度の海外調査を計画している。 最初に9月冒頭にバルセローナ及びマジョルカ島での調査を行い、1月にサルデーニャ島およびナポリでの調査を行う。 リーズ国際中世学会にてヒアリングしたことを踏まえ、スペイン・バルセローナのアラゴン王立古文書館にて14世紀から15世紀にかけて残されている商業関連史料の調査を行い、またサルデーニャ島・カリアリのカリアリ国立文書館にてサルデーニャ島の海事行政関連文書を調査する。 これらの史料調査を通じて、中世後期のマジョルカ王国とサルデーニャ王国の海域国家としての様相を明らかにする。
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