研究課題/領域番号 |
22K20060
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0103:歴史学、考古学、博物館学およびその関連分野
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研究機関 | 名古屋外国語大学 |
研究代表者 |
小堀 慎悟 名古屋外国語大学, 外国語学部, 講師 (70962413)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | 公衆衛生 / 生権力 / 香港 / イギリス帝国 / 中国 / 歴史学 / 近現代 / 華人社会 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、戦間期のイギリス領香港における衛生行政に現地の華人社会が関与することが持った意味を明らかにするものである。具体的には、現地統治機関である香港政庁が設置した衛生問題を議論するための合議機関「潔浄局(Sanitary Board)」の活動において、華人エリートが自らをどのような「近代性」を獲得した存在として位置付け、それによってどのような政治的・社会的権利の拡大を図っていたのかを明らかにする。
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研究成果の概要 |
本研究においては、主として以下の二点を明らかにすることができた。第一に、イギリス領香港の「衛生の生権力」が行使される場面においては、現地社会の華人エリート層がその「同意」あるいは「反対」に重要な役割を果たしており、一方で「衛生の生権力」の限界の要因もまた植民地当局と現地社会の双方にあった。 第二に、衛生問題を議論するための合議機関である潔浄局の議員選挙においては、西洋近代医療の専門家であることが「市民」としてのあり方と結びつけられて重要な論点となっており、華人エリートが自らを、「華人社会の代表者」としてだけでなく、近代的な制度における「華人社会の管理者」として位置づけようとしていた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究では、イギリスの植民地であった香港を対象として、現地の華人社会のエリート層が、どのような形で医療・衛生問題に取り組んだのか、それによって植民地という空間の中で自らをどのような存在として位置付け、どのような政治的・社会的権利を主張したのかを明らかにすることができた。これは、近年の近代植民地研究における「近代/西洋/植民者」と「前近代/現地社会/被植民者」という二項対立を超えた議論に貢献するとともに、新型コロナウィルス感染症のパンデミックを経験した我々が改めて医療・衛生行政が持つ自由と管理の側面を考える上でも有益となる。
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