研究課題/領域番号 |
22K20061
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0103:歴史学、考古学、博物館学およびその関連分野
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研究機関 | 京都芸術大学 |
研究代表者 |
河野 保博 京都芸術大学, 芸術学部, 非常勤講師 (10781916)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 官牧 / 古代交通 / 諸国牧 / 地方官衙 / 古代官道 / 馬匹生産 / 諸国牧・御牧・近都牧 |
研究開始時の研究の概要 |
日本列島各地に定着した馬匹文化はその後の社会の基層を支えるインフラとなり、馬は人びとの生活に欠かせない生き物としての存在を確立した。古代の列島全域への馬匹文化の拡散は中央集権体制の構築のなかで進められた国家的な生産が大きな役割を果たした。その拠点となるのが列島各地に設置された「官牧」である。本研究は古代国家によって設置された官牧の存在を検証し、地方支配や馬匹生産の展開、古代の地域空間を考えるための基礎を明らかにしようとするものである。そのため、列島各地の官牧想定地を実地調査し、馬の移動や利用という観点から交通路や地域支配の拠点との関係性を検証しながらその立地環境を明らかにしていく。
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研究実績の概要 |
本研究は古代の国家的な馬匹生産の展開と交通路との関係を考えるために、これまでの地名などから推定されてきた『延喜式』記載の「官牧」を中心に、国家的な馬匹生産の想定地を改めて実地に調査し、その立地環境を明らかにしようとするものである。 文献調査にあたっては官牧想定地における古代の様相だけでなく、馬匹生産に関わる集団の痕跡や馬文化に関わる遺物などの情報も積極的に収集し、当該地域の馬文化の広がりも視野に検討している。現地調査では牧が想定される空間の地形情報を収集するだけでなく、周囲の官衙遺構や集落・生産遺跡、山城や烽など軍事的性格を持つ遺構、または古墳なども含めて、当該地域の歴史的な空間構造を考えると共に、駅路をはじめとする交通路を丹念に踏査し、それらがつなぐルートと空間構造を検討している。 2022年度は官牧所在地の地域資料の収集と分析を重点的に実施した。その上で、山陽道を中心とした官牧の現地調査を実施し、馬牧だけでなく、国家的な動物生産を考えるために牛牧の調査もおこなった。具体的には長門国「宇養馬牧」「角島牛牧」、周防国「竈合馬牧」「垣嶋牛牧」、備前国「長嶋馬牛牧」、丹波国「胡麻牧」、安房国「白浜馬牧」「〓(金偏に分)師馬牧」の想定地を訪れ、地形などを確認すると共に周囲の遺跡や遺構などをできるだけ調査し、あわせて官道と目される交通路を踏査して、官牧の立地条件を考える情報を入手した。現地の研究調査機関で情報収集や資料調査を実施し、古代の地域情報を得るだけでなく、その地域の歴史的展開を把握し、馬牛生産の連続性や断続を確認した。 調査で得られた情報や知見は分析の段階であるが、得られた情報を関連する研究会において研究者と共有し、専門的な情報交換に努めた。また、一般向けの講座などでも調査成果を紹介し、地域における馬匹生産や交通路との関わりなどについて、広く知ってもらう機会を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年度後半期からスタートした本研究はおおむね研究計画の通り遂行されているが、現地調査の計画に遅れが生じた。当初の計画では西日本地域全体を調査する予定であったが、山陽道の調査範囲が広く、また、いくつかの牧の想定地が島嶼部に分散していたため調査日程を圧迫したが、新型コロナウイルス感染対策もあり、日程を調整することが難しく、年度内に南海道・山陰道の官牧想定地の現地調査を実施することができなかった。 一方、当初計画になかった西海道の豊後国における官牧や畿内における牧の想定地を調査する機会を得ることができ、比較対象として貴重な知見が得られたことは幸いであった。また、研究会や現地調査に際して、主に古墳時代の馬匹生産や利用に関する研究に触れ、最新の研究成果を把握することができ、古代のありようを探るために参考となっている。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は前年度に実施できなかった地域を含め、各地の官牧推定地、特に「諸国牧」を中心に引き続き文献調査と現地調査を実施する。そのうえで、それらの立地環境を分析し、古代国家の馬匹生産の特質や地域支配の空間構造を明らかにしていきたい。
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