研究課題/領域番号 |
22K20065
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0103:歴史学、考古学、博物館学およびその関連分野
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研究機関 | 国立歴史民俗博物館 |
研究代表者 |
工藤 航平 国立歴史民俗博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 准教授 (30599551)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 蔵書 / 編纂物 / 知識形成 / 地域知 / 書物出版 / 十村 / 編纂 / 書物 / 古書流通 / 蔵書印 / 村役人 / 商人 |
研究開始時の研究の概要 |
近世社会における民衆の日常レベルでの知識-簡易な記録行為ではなく、知的情報処理を経た成果-の形成・蓄積・継承プロセスについて、これまで見過ごされてきた史料-編纂物・蔵書-に注目して解き明かす。特に、①一定の集団や地域の総体的な把握、②社会を構成する多様な立場性とその思考・行動のあり方、③新たな史料的価値の創出、という3点を調査研究の柱とする。 加賀藩の大庄屋的存在である十村層と江戸商人の川喜田家を主対象に、身分・階層・生業などを異にする史料の調査研究、それらの比較検討を行うことで、集団・地域で共有される知識・秩序を解き明かすとともに、近世社会特有の知識構造の解明と文化面から近世像の再評価を行う。
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研究実績の概要 |
計画していた調査の一部とともに,新たに情報を得た史料群の調査を行い,以下の点で研究を進めることができた。①加賀藩十村岡部家文書(石川県宝達志水町)の分析,②加賀藩十村の蔵書の悉皆的調査,③徳島県および香川県地域の蔵書に関する史料調査,④大阪府泉大津市立図書館所蔵朴斎文庫(大阪府泉大津市)の史料整理と分析を行った。 また、⑤国立歴史民俗博物館企画展示「いにしえが、好き」および企画展示「陰陽師とは何者か」と,書物・出版と社会変容会との合同例会を開催した。 ②では,複数の十村の蔵書に関する記録や編纂物を確認でき,十村相互の情報共有・知識形成について検討を進めることができた。③では近世・近代の民間の蔵書関係史料を調査することができ、次年度以降の研究を行う基盤をつくることができた。④では,近代に活躍した郷土の文化人である近藤朴斎の文庫(近世の版本・写本が中心)について,泉大津市教育委員会と協力し,史料目録の整備と全体像の把握,蔵書印や書き込みをもとに旧蔵者や古書流通の調査を行い,史料所蔵機関での市民講座において調査の経過報告を行った。 本研究課題の成果の一部として,一般向け広報誌において特集を組み,編集作業を進めている(2024年6月刊行予定)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
主要対象地域以外での調査研究を行うことで,蔵書文化の広がりについて確認することができた。一方で,主要対象地域である石川県で発生した能登半島地震の影響により,計画していた調査を中止したため,調査研究の遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
収集した史料の分析を進めて近世・近代における蔵書文化のさらなる解明を進めるとともに、蔵書文化論について時代や分野を超えた学際的な研究を進めていく。 当初より計画していた伊勢商人川喜田家文書の編纂物・蔵書目録の調査を行い、商家や商業組合における知識形成や独自の論理構成、その共有・継承システムの解明を行う。 本研究課題の成果の公表を進める。
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