研究課題/領域番号 |
22K20100
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0105:法学およびその関連分野
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研究機関 | 関東学院大学 |
研究代表者 |
釼持 麻衣 関東学院大学, 法学部, 講師 (50962065)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 気候変動 / 適応 / 行政法 / 国家責任 / 営造物 |
研究開始時の研究の概要 |
毎年のように気候関連災害や極端な気象現象が発生するなか、治水設備や公益事業に供される設備などの社会インフラの整備・維持管理につき、気候変動による悪影響を防止・軽減するための「適応策」を実施することは、住民の生命・財産の保護のみならず、社会経済活動を維持するうえで急務である。 本研究は、社会インフラの整備・維持管理に着目して、行政による気候変動リスクの考慮のあり方、および、気候変動への適応にかかる国家責任の有無とその範囲を明らかにすることを目的とする。
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研究実績の概要 |
2年目となる2023年度は、引き続き文献調査および自治体等へのヒアリング調査を実施した。 文献調査としては、河川管理に関する法制度や裁判例を検討するとともに、広い意味で気候変動への適応に関わる政策課題・論点として、流域治水政策、盛土問題、行政の実効性確保手法などについても検討を行った。河川管理については、河川占用不許可処分の適法性が争われた東京高裁令和3年4月21日判決をもとに、河川敷地の占用が認められる事業の公益性と占用許可判断における考慮要素等を検討し、研究会にて評釈の発表を行った。 また、流域治水との関連では、現行の法律・条例を整理し、課題の抽出を行った。2021年に成立した流域治水関連法は、貯留機能保全区域や雨水貯留浸透施設の認定制度等を創設した点で注目され、今後はこれらの法的ツールを自治体が積極的に活用していくことが望まれるが、自治体職員の専門性・リソース不足や自治体間の広域的調整の困難さが障壁となっていると考えられる。この研究成果は、環境法政策学会および台湾で開かれた国際シンポジウムにて発表するとともに、他の参加者と意見交換をすることができた。 比較法の観点からは、アメリカの雨水管理法制と開発行為等との関係、および、保全地役権の仕組みを活用した環境保護政策について文献調査を行い、論文を執筆した。 ヒアリング調査は、いくつかの自治体の温暖化対策部局や河川部局、砂防部局の担当者へのヒアリング調査を実施したほか、環境法、行政法および行政学分野の研究者との研究会を開催し、意見交換を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の予定通り、日本国内の河川管理に関する裁判例および流域治水に関する法制度について、学会などでの研究発表を行うことができた点では、研究が順調に進展しているといえるが、アメリカの法制度・裁判例に関する論文の公表には至らなかったため、全体として「やや遅れている」と評価した。
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今後の研究の推進方策 |
研究期間の延長が認められたことを活かし、アメリカの法制度・裁判例に関する文献調査を進め、論文の公表を目指す。
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