研究課題/領域番号 |
22K20102
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0105:法学およびその関連分野
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研究機関 | 南山大学 |
研究代表者 |
橋本 広大 南山大学, 法学部, 准教授 (80964931)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | 有罪判決に基づかない没収 / 犯罪収益 / イギリス / 刑法 / 没収 / マネー・ローンダリング / FATF |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、有罪判決に基づかない没収制度(non-conviction based confiscation)について検討することである。そのために、まず、有罪判決を前提とする現状の日本の犯罪収益はく奪制度の問題点を明らかにする。次に、有罪判決に基づかない没収制度を有するイギリスにおける制度・議論状況を検討する。その上で、有罪判決に基づかない没収制度の日本への導入により、より効果的に犯罪収益はく奪が可能となる場面と、既存の制度や運用との関係で生じうる問題点を明らかにして、同制度の日本への導入の是非について論じる。本研究の成果は今後あり得る立法の際の基礎研究となる事が期待される。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、有罪判決に基づかない没収制度(non-conviction based confiscation)について、イギリスを比較法の対象として検討し、その日本への導 入の是非について示すことである。 研究計画を大きく分けて3つの課題に分けているところ、<課題2>として、「イギリスにおける有罪判決に基づかない没収制度を構成する刑事没収及び民事回復について検討を加える。特に、刑罰的性格を有しないとする整理が同制度の基礎となっているため、その整理を可能にする理論的基礎にまでさかのぼった検討を行う」こととしていた。これについて、2023年6月に早稲田大学において行われた第101回日本刑法学会における個別報告として、上記課題を中心的な内容とした研究報告を実施した。この概要については『刑法雑誌』63巻2号に掲載予定(2024年中)であり、また、この報告を基礎としてさらに検討を進めた論稿が『刑事法の理論と実務 第6号』(成文堂、2024年中)に掲載予定であり、いずれも既に脱稿し、再校刷りの確認まで了している。 また、2024年3月にシドニー(オーストラリア)へ科研費による出張をし、Rosalind Dixon教授(UNSW Sydney)、Doron Goldbarsht准教授(Macquarie University)および溜箭将之教授(東京大学法学政治学研究科教授。UNSW Sydneyの客員教授であるため当時シドニーに滞在中)とそれぞれ面談を実施し、FATF(金融活動作業部会)とマネー・ローンダリング規制との関係や、有罪判決に基づかない没収制度に関する意見交換等を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題申請後に、日本における犯罪収益はく奪の制度に重要な変更を加える法改正等が実施され、状況が大きく変化する等したため、2023年度中に補助事業期間延長申請をさせていただき、それが承認された。その延長された期間を前提とすれば、上記【研究実績の概要】にも記載したとおり、本研究課題に関する研究報告や成果の公刊物への掲載、海外の研究者との意見交換等を着実に実施できているものと認識している。 以上をふまえ、上記区分のとおりの進捗状況とした。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画を大きく分けて3つの課題に分けているところ、<課題3>として、「有罪判決に基づかない没収制度の日本への導入により、より効果的に犯罪収益はく奪が可能となる場面と、既存の制度や運用との関係で生じ得る問題点を明らかにして、同制度の日本への導入可能性について論じ、具体的な立法提言を行うこととする。」を掲げていた。 本研究課題に関係する日本法の法改正等も一段落し、既にそれをふまえた検討をあらためて行っており、また、2023年度中に比較法的検討も一定程度実施できたため、それら成果を踏まえ、今後は、上記課題3に対応する研究成果の公表を実施する。
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