研究課題/領域番号 |
22K20114
|
研究種目 |
研究活動スタート支援
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0106:政治学およびその関連分野
|
研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
李 昊 神戸大学, 国際文化学研究科, 講師 (10965429)
|
研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
|
キーワード | 共産党 / 派閥 / 権威主義 / 強靭性 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、今日の比較政治研究の重要な課題である権威主義体制の強靭性を説明することを目的とする。具体的には、共産党による一党独裁政権に着目し、党内の派閥による競争が政策の多様性を生み出し、結果として政権の適応力を高め、長期にわたる政権維持を可能にしたことを実証的に示す。比較歴史分析の手法を用いて、中国、北朝鮮、ベトナムの三つの事例について、重要な政治課題をめぐる党内の派閥闘争を詳細に分析する。政党内の競争が党の柔軟性を高めるという本研究の中心的な論点は、権威主義体制のみならず、民主主義体制の理論にも応用可能なインプリケーションを提示しうる。
|
研究実績の概要 |
本研究は、今日の比較政治研究の重要な課題である権威主義体制の強靭性を説明することを目的とする。具体的には、共産党による一党独裁政権に着目し、党内の派閥による競争が政策の多様性を生み出し、結果として政権の適応力を高め、長期にわたる政権維持を可能にしたことを実証的に示す。比較歴史分析の手法を用いて、中国、北朝鮮、ベトナムの三つの事例について、重要な政治課題をめぐる党内の派閥闘争を詳細に分析する。政党内の競争が 党の柔軟性を高めるという本研究の中心的な論点は、権威主義体制のみならず、民主主義体制の理論にも応用可能なインプリケーションを提示しうる。
2022年度の研究では、研究環境の整備及び資料の収集を中心に進めたが、特に中国の事例については、すでに研究成果をまとめており、さまざまな媒体で発表したほか、重要な成果として2023年夏ごろ出版予定の単著『派閥の中国政治ー毛沢東から習近平までー』に盛り込むことができた。本書では、留ソ派、林彪集団、石油閥、経済保守派、上海閥など、中国を代表する派閥の盛衰過程と政争の展開を関連づけながら、中国政治における派閥の重要性を論じた。特にこれらの派閥が競争を繰り広げながら、党の分裂をもたらさず、対外的には団結していたことに着目し、このような党内にとどまる派閥闘争が結果的に中国共産党一党独裁体制の強靱性を高めたことを明らかにした。
2023年度では、引き続き中国の事例に関する研究成果を積極的に発表するほか、ベトナムと北朝鮮の事例についての研究を進め、全体的な枠組みの整理を行い、成果の発表につなげる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
おおむね順調に研究は進展しており、研究成果の公表も進んでいる。 2022年は中国共産党第二十回全国代表大会が開催され、派閥をめぐって、多くの情報や論考が発表された。本プロジェクトでもさまざまな媒体に論考を発表しているが、何より、重要な研究成果として単著の刊行準備が進んでいることが重要である。党大会に関する記述を含め、初年度の研究成果を盛り込んでおり、2023年5月現在、校正作業中である。本書は、歴史比較分析の手法を用いて、中国共産党の派閥の盛衰過程と政争の連動を分析している。一党独裁体制において、派閥が党内の権力闘争と政策論争において動員されているにも関わらず、それが党内にとどまることで、党の団結を維持しながら、党内の多様性を生み出していることを論じている。 ベトナムと北朝鮮の事例については、資料の収集と基礎的な分析が進められている段階であり、それも当初予定した状況である。 論考の発表以外にも、シンクタンクやメディア、企業などにおける意見交換や講演も積極的に行っており、国内でのアウトリーチ活動と研究ネットワークの拡大にも取り組んだ。
|
今後の研究の推進方策 |
2023年度も、研究計画に沿って課題に取り組む。 2023年度の主な課題は、(1)ベトナムと北朝鮮の事例の詳細な分析、(2)中国の事例のさらなる充実化、(3)一般的な理論の構築と精緻化である。最終的には論考にまとめ、学会発表まだは論文の公刊を目指す。
|