研究課題/領域番号 |
22K20121
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0106:政治学およびその関連分野
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研究機関 | 白鴎大学 (2023) 同志社大学 (2022) |
研究代表者 |
佐竹 壮一郎 白鴎大学, 法学部, 講師 (90962019)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | EU / 価値 / 欧州委員会 / 政治参加 / 価値解釈 / 象徴 / 境界線 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の対象はEUである。欧州統合は地理的・法的境界線だけでなく、EUにおける価値解釈をめぐる境界線にも影響を与えた。本研究の目的は、統合の進展と境界線の形成が同時代的に生じているEUを分析し、境界線形成のメカニズムを明らかにすることである。とりわけ、本研究は象徴の構築・維持・変容に着目し、EUにおける価値に基づく境界線の形成を分析する。本研究を通じて、EUにおける境界線の形成と統合の後退を紐づける見方の克服だけでなく、境界線の形成をめぐる政治的意思決定過程の解明が期待される。さらに、EUを比較可能な参照軸として再提示することで、政治経済分野の枠組みを越えた地域統合研究の活性化も期待できる。
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研究成果の概要 |
本研究は、EUが「我々」像の構築に向けて価値のパッケージ化を漸進的に進めていたことを明らかにした。また、現状のEUによる「我々」像の構築が限界を抱えていることも、2010年代における極右政党の挑戦に対するEUの反応に焦点を当てた本研究により確認された。さらに、同時期に入りEUは「我々」像を構築する一環としてマイノリティの政治参加を促した一方、そうした者の政治的インパクトは求めていないことも本研究を通じて浮き彫りにされた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
一般的に「我々」対「彼ら」像の構築はポピュリストの営みとされる。だが、既存体制側に位置するEUも他者化を試みていることが本研究により明らかにされた。このような境界線策定は極右勢力の台頭に影響され急速に進んだことも示された。先行研究で主に検討されてきた上からの「ヨーロッパ人」像の構築過程とは異なる動きが確認できたことから、新たな「我々」像の策定に関するEUの動機を捉える研究への発展が期待できる。 さらに、新しい「我々」像の構築に際し、EUが政治的マイノリティに対して高い関心を寄せていることも明らかとなった。EUによるそうした者の声の汲み取り方について市民が注視する必要性を本研究は示している。
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