研究課題/領域番号 |
22K20133
|
研究種目 |
研究活動スタート支援
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0107:経済学、経営学およびその関連分野
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
陶 俊帆 京都大学, 経済研究所, 講師 (60967090)
|
研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | 非定常時系列 / 統計的逐次探索 / 単位根検定 / 初期値 / 分枝過程 / 逐次探索 / 構造変化 |
研究開始時の研究の概要 |
現在,IT の技術の進展に従って,インターネットを通じて,経済・金融・疫学などに関する詳細なビッグデータを手にいれることができる。このような状況を考えると,できるだけ早いうちに現在の状態を判別し,構造変化の早期発見や変化後のモデルの早期同定が重要な課題となる。そこで本研究では,経済・金融時系列からバブルを早期検出すること,および疫学データから感染爆発を早期探索することを念頭に置き,オンライン時系列データに対する様々な統計的問題を解決するためのモニタリング手法としての統計的逐次解析を構築する。
|
研究実績の概要 |
今年度は,主に以下の2つの課題の研究を行っていた。(1)分枝過程に対して統計的逐次分析手法の理論研究。オンライン観測される分枝過程を自己回帰過程の理論を用いて,基本再生産数についての臨界性検定に対して統計的逐次解析の研究を行っていた。分枝過程は条件付き不均一分散を有する誤差項を持つ整数値AR(1)モデルとして認識され,一般化最小二乗法が適用可能である。そこで,ARモデルと同様に観測Fisher 情報量に基づく停止時刻を用いて統計的逐次分析手法を展開した。分枝過程は基本再生産数を1に近い局所パラメータを想定するとき Cox-Ingersoll-Ross (CIR) 過程で近似でき,ARモデルと同じような統計的逐次解析手法が適用できることを確認した。(2)Dickey-Fuller検定における初期値の影響についての統計的解析の理論研究。この研究では,局所対立仮説のもとで,1階自己回帰過程に対する単位根検定の研究を行っていた。Dickey-Fuller検定統計量の限界近似は、1次元の二乗Bessel過程を介して表現される2つの積分の比である。我々は検定統計量の比率の分布を二乗Bessel過程とその積分の結合密度を導出し、検定統計量を計算することができます。Girsanov定理を使って.局所対立仮説のもとでのDickey-Fuller検定を、正規分布の位置パラメータのシフトに関する検定に変換する。その結果を用いて、DF検定のサイズ,パワー,臨界値などの動作特性を簡潔に計算する方法を提案した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度論文を学術誌に投稿する予定でしたが,誤差項に関する仮定を変更し,適用するモデルのクラスを拡張についての修正を行っており,若干遅れている。それ以外はほぼ計画通りに進んでおり,おおむね順調に進展している。
|
今後の研究の推進方策 |
疫学で重要な分枝過程に対して統計的逐次臨界性検定問題については,ほぼ理論が完成し,現在は原稿を作成している段階で,これを完成させて学術誌に投稿する予定である。 Dickey-Fuller検定における初期値の影響についての統計的解析の理論研究も原稿を完成し,学術誌に投稿する。さらに,膨大な経済・金融などのデータがオンライン観測されている現状を考えると,未知の変化点の早期探索,モデルの早期探知が重要な課題になっている。令和5年度から変化点問題の早期探索について考察を行う。
|