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聴覚刺激の変化が消費者の環境配慮製品の選択に及ぼす影響

研究課題

研究課題/領域番号 22K20139
研究種目

研究活動スタート支援

配分区分基金
審査区分 0107:経済学、経営学およびその関連分野
研究機関福井県立大学

研究代表者

芝田 有希  福井県立大学, 経済学部, 助教 (10960792)

研究期間 (年度) 2022-08-31 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
キーワードGreen consuming / SCB / Construal level theory / Sensory marketing / environmental behavior / 持続可能な消費者行動 / 解釈レベル理論 / グリーン消費 / Sensory Marketing / Green Consumer / Construal Level Theory / エコ製品 / 感覚マーケティング / 聴覚刺激 / 音楽 / 環境配慮行動
研究開始時の研究の概要

近年、社会的な環境問題意識の高まりに伴い、消費者が環境に配慮した製品を選択できる機会が増加している。環境マーケティング研究分野などでは、エコラベル表示の有無やその形態が消費者の商品・サービスの選択に与える影響について研究が行われている。しかし、消費者の意思決定の大部分が行われる店舗内の環境刺激が、消費者の環境配慮行動に与える影響に関する研究は、ほとんど行われていない。
そこで、本研究は、店舗内環境刺激の一つである聴覚刺激が、消費者の環境配慮行動に与える影響を検証する。また、聴覚刺激が環境配慮行動に与える直接的な影響だけでなく、媒介変数として「解釈レベル」を使用し、一連のプロセスを明示する。

研究実績の概要

本研究の背景として、環境にやさしい製品(以下、エコ製品)に対する注目が、企業と消費者の両方の文脈で高まっていることが挙げられる。しかし、green consumingの文脈では、消費者が環境に優しい商品を実際の購買時点で選択しないことが問題になっている(“Attitude- Behavior- Gap”)。
本研究はこの問題を解決するために、消費者の意思決定に大きな影響を与える感覚刺激(視覚刺激と聴覚刺激)に着目し、エコ製品の選択を促進するために、適切な刺激の特定を目指した。また、“Attitude- Behavior- Gap”が消費者の解釈レベル(対象との心理的距離によって解釈のされ方が異なる)によって説明できると考え、感覚刺激がエコ製品の選択に与える影響の介在変数として、解釈レベルを導入した。次に、本研究の研究実施計画と照らし合わせて、研究実績の概要について述べる。
まず、昨年度実施したアンケート調査のデータ分析を実施し、その結果を申請者が所属する部会で報告した(2023年8月)。本報告のフィードバックにより、実験設計の不十分さ、仮説の理論的根拠の不十分さに関する指摘を受けた。併せて、分析についても操作刺激のより複合的な影響を検証すべきであるとの指摘があった。
それらのフィードバックを受けて、仮説の論拠となる論文を改めてレビューした。また、操作刺激間の複合的な影響(=交互作用効果)に関する追加分析を実施した。その結果、操作刺激間の抽象性(ここでは、心理的距離)が一致している場合に、参加者のエコ製品に対する評価や購入意図が有意に変化することが示された。これらの結果についても部会(2024年2月)で報告し、さらなるフィードバックを得た。次年度では、これらのフィードバックをもとに追加調査を実施し、研究成果を論文にまとめる予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

現在までの進捗状況として、やや遅れていると考えている。その理由として、昨年度に実施したアンケート調査の分析および解釈に時間を要したことが挙げられる。当該アンケート調査では、広告メッセージのフレーミング(利益焦点vs損失焦点)と情報量(文字情報のみvs文字+画像情報)、そして、時間的距離(今年vs将来的に毎年)を変化させることで、消費者の解釈レベルを操作し、エコ製品の選択確率が変化するかどうかを検証した。その結果を部会(2023年8月)で報告したところ、さまざまな点において改善や再考が必要であるとの指摘を受けた。
そこで、収集データに関するさらなる分析を実施し、操作刺激間の複合的な影響などを検証した。その結果、操作刺激間の抽象性が一致している場合に、参加者のエコ製品に対する評価や購入意図が有意に変化することが示された。また、時間的な距離の操作については、消費者に有意な影響を与えないことが示された。これらの調査結果について再度部会で報告を行なったところ、調査結果の解釈をより丁寧に行うことや、研究のリサーチギャップについて再考するよう助言を受けた。
現在はこれらの研究成果とフィードバックをもとに、雑誌に論文を投稿するための準備を進めている。1つ目の論文は、実施したアンケート調査の結果をまとめた実証論文である。それと同時に、本調査のためにレビューした様々な領域(ex.行動科学、ビジネス、経済学、環境心理学)の関連研究をまとめたレビュー論文の執筆も進めている。また、論文執筆とは別に、新たなアンケート調査の準備も進めている。具体的には、これまでに実施したアンケート調査の結果が頑強なものであるのか、および、異なる刺激同士(ex.視覚刺激×聴覚刺激)においても、同様の結果が得られるのかについて調査を実施する予定である。

今後の研究の推進方策

①レビュー論文の完成:本研究に関連する様々な領域の先行研究(ex.消費者行動、行動科学、経済学、環境心理学、経営学)をまとめたレビュー論文を完成させ、学術雑誌に投稿する。投稿先については、 “Journal of Consumer Research”(マーケティング領域)、あるいは“Cleaner and Responsible Consumption”(環境経済学領域)を目指している。
②実証論文の執筆:昨年度に実施したアンケート調査の結果および解釈について、二度にわたり部会でフィードバックを受けた。それらのフィードバックを反映し、実証論文として雑誌に投稿する。
③感覚刺激が消費者のエコ製品の選択に与える影響に関する追加調査:まず、昨年度に実施したアンケート調査の結果が頑強なものであることを確認する。具体的には、異なる操作刺激間においても、抽象性が一致している場合において、消費者のエコ製品に対する態度が有意に変化することを明らかにする(ex. 抽象性が低い組み合わせ:損失フレーム×自己利益焦点、抽象性が高い組み合わせ:利益フレーム×他者利益焦点)。その後、異なる刺激同士(視覚刺激×聴覚刺激)においても、同様の結果が得られるのかについて調査を実施する予定である。具体的には、メッセージの内容(抽象的フレーミングvs具体的フレーミング)と広告方法(視覚広告vs音声広告)を操作し、感覚刺激が解釈レベルを媒介してエコ製品の選択に影響を与えることの頑強性を確かめる。
④本研究の成果をまとめた論文の執筆:最終的に、本研究の全ての成果をまとめて、学術雑誌に投稿する予定である。また、 本研究の途中経過については、秋に開催される学会での報告を予定しており、それらのフィードバックを投稿論文に反映する予定である。

報告書

(2件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 研究成果

    (3件)

すべて 2024 2023

すべて 学会発表 (3件)

  • [学会発表] エコ製品選択の文脈における”attitude-behavior gap”の解消を目指して2024

    • 著者名/発表者名
      芝田 有希
    • 学会等名
      日本マーケティングサイエンス学会・市場に関する研究部会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] フレーミング効果がエコ製品の選択に与える影響2023

    • 著者名/発表者名
      芝田 有希
    • 学会等名
      日本マーケティングサイエンス学会・市場に関する研究部会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 聴覚刺激が消費者の環境意識と環境配慮行動に与える影響2023

    • 著者名/発表者名
      芝田 有希
    • 学会等名
      日本マーケティングサイエンス学会・市場に関する研究部会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書

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公開日: 2022-09-01   更新日: 2024-12-25  

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