研究課題/領域番号 |
22K20169
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0107:経済学、経営学およびその関連分野
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
亀井 憲樹 慶應義塾大学, 経済学部(三田), 教授 (00924929)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | モラル・ハザード / 経済実験 / タスク選好 / タスク割振 / リアル・エフォート / 契約 / 労働生産性 / 互恵性 / 実験 |
研究開始時の研究の概要 |
組織の経済学や契約理論によると、複数の構成員が生産活動に携わる場合には、怠業などのモラル・ハザードの問題が起こる。本研究は、斬新な実験室内実験を実施することで、(a)組織における役割やタスクの労働者への割振と(b)労働者のタスク選好のマッチングの重要性を実験室内実験を行うことで考察する。この研究はコペンハーゲン大学経済学部のトーマス・マークセン教授と共同プロジェクトの形で実施する。
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研究実績の概要 |
2022年度には、コペンハーゲン大学経済学部トーマス・マークセン教授とまず理論分析を行い、研究の問いの更なる精緻化と、それに対応した経済実験のための斬新なフレームワークを設計した。具体的には、本研究目的の「労働者のタスク選好」と「組織からのタスクの割振」の間のマッチングの行動効果を計測するために、被雇用者、雇用者を明示的に経済トイモデルに入れ雇用関係を分析し、雇用者のタスク割振に関するメカニズムと、被雇用者が求める賃金水準の特徴を考察し、本マッチングの問題は雇用者が求める契約形態にも影響を受けると分かった。組織の経済学や企業論における関連論文の整理も併せて行い、研究の意義、仮説及び貢献を再確認したのち、トイモデルに合致する形で経済実験を設計した。 実験遂行に向け、使用する労働タスクを設計した。その上で、専用ソフトウェアであるzTreeによって実験を全てコンピュータ・プログラム化した。実験プロトコルの作成は経済学における研究規範に準拠した。例えば、実験説明書は実験者効果を最小化すべく、被験者への説明に研究目的を含めず、また中立な言語を使用し、全て真実の表現(嘘は一切ない)が用いられた。当初の予定通りにコペンハーゲン大学が保有する経済実験室(パソコン教室)で実験を行うため、必要な数の被験者(コペンハーゲン大学の学生)の募集を行い、同実験室で実験プログラムの検査も丁寧に行った。コンピュータ・プログラムの全ての機能を確認したうえで、2022年度末より経済実験を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
「研究実績の概要」で記載の通り、研究の問いの精緻化、実験の準備、そして実験実施と、研究自体は非常にスムーズに進捗している。特に、実験準備に膨大な作業が必要なことを考えると、研究費の交付決定から現在までの間で既に実験セッションの実施も開始している点は極めて顕著な点であるが、当初の予定に比べ1か月程度実験セッションの実施が遅れた。その理由は、zTreeプログラムの作業の遅れである。当初はコンピュータ・プログラマーやRAを雇いプログラミング作業を進める予定であったが適切なプログラマー、RAが見つからなかった。それを受けて、共同研究者のマークセン教授がプログラミング作業にあたった。プログラマーのサーチに時間を費やし、それが成功しなかった理由で予定よりも1か月程度遅れたが、現在実験のセッションは極めてスムーズであり、遅れを取り戻すように努力している。
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今後の研究の推進方策 |
まず、「研究実績の概要」欄で記載の実験セッションの実施を着実に実施する。本研究プロジェクトは2種類の実験トリートメントを実施することを計画しており、現在進行中の実験セッションは1種類目である。実験実施に必要な予算額とコペンハーゲン大学経済実験室における利用可能な被験者数の大きさ(キャパシティ)の都合で、実験は2段階に分けで実施している。 1種類目の実験が終了し次第、2023年度の予算を用いた2種類目の実験セッションの実施に向け、被験者数の確保を含め実験実施準備を行い、全ての実験セッションの実施を2023年度中に完了できるように一つずつ実施していく。全実験を実施しデータを収集した後には、計量経済手法、統計手法を用いて詳細なデータ分析を行い仮説検証を行い、論文執筆に移る。
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