研究課題/領域番号 |
22K20176
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0107:経済学、経営学およびその関連分野
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
田中 義孝 福岡大学, 商学部, 講師 (30967146)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | ESG / 金融市場 / 情報開示 / 無形資産 / イベントスタディ / イベントスタディー / 株価の情報性 / グリーンウォッシング |
研究開始時の研究の概要 |
ESG投資は金融を通じた社会課題の解決という側面と同時に、金融市場のリスク配分機能と流動性提供機能を損ねる側面があるのではないかというのが本研究の問題意識である。 本研究では企業の社会貢献と金融市場の効率性のトレードオフをモデル化し、望ましい企業の社会貢献の程度を算出する。さらに、マテリアリティの低いESGに関する活動が投資家に過大に評価されているか否かを実証的に検証する。 また、企業が投資家への過度なアピールのために情報を選択的に開示することで、金融市場における情報の信頼性を損ねる恐れがある。本研究は、複数のタイプのESGデータを照合し、不都合なESG情報の選択的非開示の有無を検証する。
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研究成果の概要 |
研究成果は次の5つである。①財務関連性が高い環境課題への取り組みが不十分な米国企業への投資リスクを投資家が把握していることを示した。②ESG関連イベントへの短期的な株式リターンの反応は、財務的関連性が低くても社会的な注目度が高いものであれば統計的に有意になることを示した。③文脈を加味したESG開示情報の可読性を評価し、ESGへの注目度の高さが情報開示の質を下げている傾向を指摘した。④環境投資と財務的パフォーマンスの関係が低いうえに投資コストが高いにもかかわらず、環境投資に積極的な企業が存在する傾向を示した。⑤地域社会の持続可能性への姿勢の違いが企業の資源配分に影響を与えている傾向を示した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究の学術的貢献は以下の3点である。1点目はESG投資において投資家の行動がファンダメンタルズ以外の要因に左右されること、その背後に情報の非対称性がある可能性を示した点である。2点目は開示情報の可読性評価に新たな手法を導入し、開示情報の質が情報の非対称性にもたらす影響や情報の質とESGへの社会的な熱狂の関係を検証した点である。3点目は一部の企業のCSR活動の非効率性を数値化し、その背景にステークホルダーの圧力があることを示した点である。ESG投資は注目を集める一方でグリーンウォッシングを始めとする課題も指摘されている。その中で、ESG投資に伴う課題を検証した本研究は社会的意義があると考える。
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