研究課題/領域番号 |
22K20180
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0108:社会学およびその関連分野
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
星 純子 茨城大学, 人文社会科学部, 准教授 (40598645)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | 台湾 / 社区営造 / まちづくり / 地方創生 / ライフコース / 新自由主義 / 地域社会 / 家族 / 社会運動 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、台湾におけるまちづくり(社区営造)の長期的変化と台頭する新しい社区営造との相互作用を論じるものである。 方法は農村でのフィールド調査、文献調査、まちづくり関係者や政府機関などへの聞き取り調査を行う。これにより、社区営造の長期的なインパクトや、旧世代の社区営造の経年変化、同一地域内における新たな起業型社区営造の発展について検討を加え、新旧世代の関係性やライフコースを描くとともに、新自由主義下における起業型社区営造や補助金による社区営造の複雑性や可能性についても論じる。 本研究の特徴は、台湾では先行研究が少ない同一地域内の長期的調査であること、新旧両方の社区営造を分析することである。
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研究実績の概要 |
当該年度は1回の海外渡航、文献やインターネット資料をもとに調査を行った結果、1本の論文を刊行できた。その内容は、ライフコース論を手掛かりに台湾の社区営造(まちづくり)を論じるもので、高雄市美濃区の龍肚小学校の20年来の食農教育を題材とした。 論文の内容は以下のとおりである。20年前、ダム建設反対運動がひと段落したばかりの美濃は社区営造もまだ萌芽期にあり、今後の方向を模索しているところであった。ちょうどそのころに大学を卒業してキャリアのかけだし期に当たった人たちは、農村の伝統文化や価値観をリノベーションや調査などの形で表象する社区営造の価値観に大きく影響を受け、それにかかわることをライフワークとしていった。社区営造の価値観の中には家族の価値観も含まれているが、社区営造関係者は農村のかっこ付きの「伝統」的価値観を尊重しながらも、実際に発生する家族との衝突を巧みに避けたり、結婚しなかったりと家族の価値観を換骨脱胎しながら社区営造に従事していった。 本論文の意義は、長期的な観点で社区営造を分析したことである。1965-1975前後の出生コーホートは、キャリアの開始期に美濃ダム建設反対運動や社区営造の発展期を経験した。この経験は政府補助金を使った社区営造に台湾全土で集団的に取り組むことを可能にした。これらの世代は学校でも社区営造を実施していき、若い世代を育てつつある。今後はその経験が若い世代にどのように伝わったのか、そして実際には若い世代はどのような社区営造を行っているのかを、フィールドワークもまじえて検証したい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
まずは一本の論文を出せたため、おおむね順調に進んでいるといえる。2022年度は相変わらずコロナ禍で海外渡航がかなり難しく、また個人的に育休から実質上復帰した年度でもあり、小さい子どもを抱えながらの研究は困難を極めた。しかし、まずは台湾の社区営造(まちづくり)の旧世代ともいうべき人々について初歩的な研究成果を出したのは、今後の研究の進展に大きな基礎となると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
申請者は今年4月から来年3月末まで台湾に滞在中である。すでにフィールドとなる美濃に拠点を築いており、子育て世代が多く集まる小学校や社区営造団体(まちづくり団体)を中心に文献収集やフィールドワークを進めている。現在、今まであまり接触がなかった若い世代の関係者にも接触中であり、上の世代との比較や関係性を調査している。
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