研究課題/領域番号 |
22K20183
|
研究種目 |
研究活動スタート支援
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0108:社会学およびその関連分野
|
研究機関 | 滋賀大学 |
研究代表者 |
松原 悠 滋賀大学, データサイエンス学系, 助教 (30840227)
|
研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | 社会の空気感 / 災害復旧・復興 / 地震災害 / 気象災害 / 火山災害 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、災害時に出現する独特の「社会の空気感」の変化のメカニズムを、過去の災害事例にもとづいて明らかにすることである。平常時であれば全く問題ない行為であっても、災害時には許容されず自粛が求められる場合が少なくない。そして「社会の空気感」を読み違えた場合には世間の反発を招く結果になりかねない。本研究では、ここ30年間の日本の主要な災害事例を対象として文献調査やインタビュー調査を通じた資料収集を行う。そして「社会の空気感」の変化に大きな影響を受けるであろう活動に注目し、それらが実際に実施された時期と当時の社会的状況との関係を分析して「社会の空気感」の変化のメカニズムに関する知見を導出する。
|
研究実績の概要 |
2023年度は主に以下の3点に取り組んだ。 ・文献等の資料にもとづいて過去30年間の災害事例における「社会の空気感」を把握しようとする試みについては、昨年度から実施している地震災害に加え、今年度は気象災害や火山災害も対象とした。地震災害に関しては、一つ一つの社会活動が平常時の状態に戻っていくことが「社会の空気感」の変化の背後にあると考え、過去に発生した10の地震災害に関する社会の平常化プロセスを比較した分析結果を学会で発表した。気象災害に関しては、地震災害を対象として実施した分析手法を踏襲した形でデータ収集や分析を行った。結果としては、地震災害と比べて社会の平常化のサインがやや少ない傾向があるものの、概ね地震災害と同様の分析結果が得られることを確認できた。火山災害については、地震災害や気象災害と比較して火山活動は長期間に及ぶ場合があり被害形態も地震や水害と異なる部分が大きいため、同様の手法で分析を行うことは困難であることがわかった。 ・上記の作業に加えて、2023年度は災害発生直後の被災地に足を運び、「社会の空気感」の変化に関する情報を現地での観察等を通じて収集することも試みた。具体的には、2023年5月に能登半島で発生した地震や、2023年8月に福知山市で発生した水害についてこれを実施した。 ・今年度は、相対的に規模の大きな地震災害である令和6年能登半島地震が2024年1月に発生した。この地震災害に関しては、リアルタイムに日々発信されるニュース・記事・行政等の発表・SNS上の情報等を対象として、「社会の空気感」の変化をとらえることに資すると思われた資料を逐次収集した。今後、分析を試みる予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2023年度は、地震災害に関する分析結果の学会発表を行うことができたほか、当初予定していた気象災害や火山災害についての資料収集と分析も進めることができた。また、限定的な内容ではあるものの災害発生直後の被災地における現地調査も行うことができた。しかしながら、年度当初に構想していた、上記のアプローチを補完しうるような追加的なデータ分析(SNSの分析や社会調査等)については実施できていないことから、当初の計画と比べてやや遅れているものと考えている。
|
今後の研究の推進方策 |
2024年度は、本研究課題の最終年度として、これまでに収集した過去の災害に関する資料のとりまとめを行う。また、2023年度に実施できなかったSNSの分析や社会調査について、いずれか一方または両方を実施し、既に存在している資料に基づく分析のみではアプローチが困難な領域における「社会の空気感」の変化をとらえることを目指す。
|