研究課題/領域番号 |
22K20191
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0108:社会学およびその関連分野
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研究機関 | 佛教大学 |
研究代表者 |
柳下 実 佛教大学, 社会学部, 講師 (00963604)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 家事労働 / ジェンダー / 未婚者 / 生活時間 |
研究開始時の研究の概要 |
近年では家事労働研究において女性より男性の家事スキルが低いため,家事の不平等が生じるという〈家事スキル仮説〉が提示され,新たな論点となっている.本研究は,家事スキル蓄積の主要な場である世帯と学校教育に着目し,家事スキルの男女差が生じるプロセスを理論的に検討する.そのうえで,現時点で本研究課題の遂行に最適な「社会生活基本調査」の個票データを用いて,①家庭科共修化は男性と女性にどのような影響を与えたのか,②結婚前に家事に費やす時間の差が結婚後の家事時間の男女差を説明するのか,を分析する.これらを通して,男性の家事スキル向上が日本社会における家事のジェンダー不平等の緩和に有用なのかを検討する.
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研究成果の概要 |
日本社会では家事労働のジェンダー不平等が深刻である.近年の研究では男性の「家事スキル」が少ないことが、男性が家事へ参加することを妨げているという「家事スキル仮説」が提唱された.本研究は,家事スキルの獲得として家庭科共修化に着目し社会生活基本調査を分析したところ,家庭科共修化によって家事スキルを得ても,男性の家事時間は長くならないことが明らかになった.また,未婚時の家事遂行に20代後半から差が生じていることが明らかになった。これらの結果から家事スキルよりも,結婚する前に女性が家事をし,男性はしないという状態がなぜ生じているのかを検討する必要性が示された.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
日本社会の家事労働のジェンダー不平等を緩和することは非常に大きな課題である.量的な家事労働研究はこうした課題に取り組んできたが,「家事スキル仮説」は新たな論点として学術的に注目されている.一方で,人びとがどのように家事をする/しないことによって既婚時の家事労働のジェンダー不平等が生じるのか,実際に家事スキルを身に着けたら家事をするのかは分析されていなかった.本研究は,家事スキルを身に着けるだけでは,男性は家事をするようにはならないことを明らかにした.また,従来の研究では未婚者の家事への注目は非常に低かったが,本研究の知見により既婚者の分担を考える上でも新たな研究領域として重要なことが示された.
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