研究課題/領域番号 |
22K20192
|
研究種目 |
研究活動スタート支援
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0108:社会学およびその関連分野
|
研究機関 | 関西国際大学 |
研究代表者 |
春木 裕美 関西国際大学, 教育学部, 講師 (20963060)
|
研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | 障害者 / 母親 / 就労 / ケア / インタビュー / 障害 / M-GTA |
研究開始時の研究の概要 |
2012年の放課後等デイサービス事業の創設は、子どもの余暇支援だけでなく母親のケア負担を軽減し、就業を促進する効果もあった。しかし、学齢期後は代替となるサービス不足のため、母親のケア負担は再び増大し、働きづらさが生じることが推測される。 本研究では、常時ケアを要する重度障害者と暮らしている母親に焦点を当て、インタビュー調査を行い、母親のケア負担と働き方の変容プロセスを明らかにする。変容プロセスを明らかにすることによって、母親の継続的な就業支援モデルの構築に資することが期待される。
|
研究実績の概要 |
本研究の目的は、放課後等デイサービスを利用していた常時ケアを要する重度障害者と暮らす母親のケア負担と就業の変容プロセスを解明することである。 2022年度は、第1に、文献検討を行った。障害者の母親や家族のケア負担、就業関連の最新の国内外の文献を検討した。第2に、文献検討を踏まえ博士論文の調査で用いたインタビューガイドの改訂版を完成させた。第3に、インタビューデータの取得を実施した。対象者は放課後等デイサービス事業の利用経験のある重度障害者(18~22歳)と同居し、就業している母親である。改訂版インタビューガイドに基づき半構造化面接調査を行った。対象者は15名を予定しているが現在、5名を終了したところである。 インタビューガイドは①子どもの日常的に要するケア内容と実施者、②母親の働き方とケア負担の変化、③働くなかでの困りごとについて、また、どのように解決してきたのか④働くことについてどう認識しているかについて、中心的に聞く内容のものである。 取得した5名のデータを概観すると、常時ケアを要する重度障害者と暮らす母親は、子どもが特別支援学校に通学し、放課後等デイサービスを利用していた頃に比べると、卒業後に利用している生活介護事業所の朝の送迎時間が遅く、一方で帰宅時間は早くなったため、母親は就業時間の短縮を余儀なくされていることが分かった。そのためには、時間の融通が利くパートタイムで働き続けなければならないことや希望する職種で働くことは難しいと感じていた。また、母親のケア負担は、子どもの成長に従って、母親の心身ともに負担が増大していることが分かった。障害福祉サービスを利用しているもののサービスの利用のしづらさがあることがわかった。さらに、放課後等デイサービスを利用していた頃と比べると時間的に余裕がなくなったことで、就労だけでなく、生活のあらゆる面に支障をきたしていることもわかった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
インタビューデータの取得が遅れている。生活介護事業所に通所している対象者には、18歳で高校3年生の子どもをもつ母親も対象にしていたため、卒業後、生活介護事業所へ通所してから数か月経過した頃に母親の就労状況を調査する必要があると判断したためである。その方が、本研究の目的である子どもの特別支援学校卒業前後の母親のケア負担と就業の変容プロセスを明確に分析できるデータが取得できると考えた。
|
今後の研究の推進方策 |
2023年度は、インタビュー調査を引き続き行うとともに、修正版グラウンデッドセオリーを用いて、分析ワークシートを立ち上げて、丁寧に概念の抽出を行っていくことに時間をかける。 具体的には、分析テーマをもとに、分析焦点者の視点でデータを読み込み、仕事と子どもへのケアに関する分析焦点者の認識や行動に注目しつつ分析ワークシートを立ち上げ、概念を生成していく。深い意味の解釈を行うことを心がけ、概念の継続的比較を行いながらオープン化を行う。その後、抽象度が高すぎる概念は再度見直して分割することや反対に、同じ意味をなす概念は統合し、収束化を図る。ある程度概念が生成された段階で図式化を行いながら概念間の関係をみていき、抽象度をあげて、カテゴリー、コアカテゴリーとしていき、その後も継続的比較を行い、理論的飽和化を目指す。 また、研究成果は所属学会誌への論文投稿及び所属大学の紀要へ投稿をするほか、研究成果報告書を作成する
|