研究課題/領域番号 |
22K20197
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0108:社会学およびその関連分野
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研究機関 | 立教大学 (2023) 大阪公立大学 (2022) |
研究代表者 |
渡辺 健太郎 立教大学, 社会情報教育研究センター, 助教 (80953158)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 高等教育 / 専攻分野 / 政治的態度 / パネル調査データ / 社会意識 / パネル |
研究開始時の研究の概要 |
欧米では、「高等教育は政治的態度を形成するか」という問いに答えることを目的として、複数時点での個人追跡型の調査データ(=パネルデータ)の分析が進められてきた。一方、日本では、1時点データにもとづく高卒層と大卒層の政治的態度の比較は行われてきたものの、高等教育を受けることによる政治的態度の変化、そして、専攻分野ごとの態度変化の異質性は検証されてこなかった。そこで本研究では、東京大学社会科学研究所「高卒パネル」データを用いて、高等教育による政治的態度の変化と専攻分野によるその変化の異質性を検証する。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、パネルデータ(東大社研・高卒パネル調査)の分析を通じて、高等教育を受けることで政治的態度に変化が生じるのかを、大学内部の異質性に注目しつつ明らかにすることである。まず、パネルデータの分析と並行して行ってきたクロスセクショナルデータの分析結果は、査読誌に掲載された。上記論文では、2019年に実施された全国調査である「情報行動と政治・社会意識に関する調査」データを用いて、大学・大学院卒層の憲法意識に注目し、専攻分野による違いがみられるのかについて検討した。分析では、大学・大学院卒層の専攻分野を、人文学と芸術学、理学から構成されるリベラル・アーツ専攻、社会科学や工学などから構成される実学専攻という2つに区分した。分析の結果、(1)大学・大学院卒層の実学専攻に比べて、リベラル・アーツ専攻は憲法改正に反対する傾向にあること、(2)具体的な9条改正案のうち、9条2項(戦力の不保持)の削除や自衛隊明記については、実学専攻に比べて、リベラル・アーツ専攻が護憲的な傾向にある。以上の分析結果から、日本においても、高学歴層の政治的態度は専攻分野による異質性がみられることが示唆された。次に、パネルデータの分析では、上記論文の結果をもとに、実学とリベラル・アーツという専攻分野の違いを考慮しつつ、高等教育を受けることで政治的態度に変化が生じるのかについて検討した。そして、分析自体は今年度で完了した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
おおむね順調に進展していると考えられる。今年度は、パネルデータの分析と並行して行ってきたクロスセクショナルデータの分析結果が査読誌に掲載された。当該論文では、2019年に実施された全国調査である「情報行動と政治・社会意識に関する調査」データを用いて、大学・大学院卒層の憲法意識に注目し、専攻分野による違いがみられるのかについて検討した。その結果、大学・大学院卒層の憲法意識がリベラル・アーツと実学という専攻分野によって異なることが明らかになり、日本においても、高学歴層の政治的態度は専攻分野による異質性がみられることが示唆された。また今年度は、上記論文で提示されたリベラル・アーツと実学という専攻分野の分類を用いて、パネルデータの分析を進め、高学歴層の政治的態度の変化について検証した。そして、上記の分析自体は今年度で完了している状況にある。本研究の目的が、高等教育を受けることで政治的態度に変化が生じるのかを大学内部の異質性に注目しつつ明らかにするという点にあることを踏まえれば、研究の進捗状況としては、おおむね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、クロスセクショナルデータの分析から得られたリベラル・アーツと実学という専攻分野の分類を用いて、パネルデータの分析を進め、高学歴層の政治的態度の変化について検証した。そして、上記の分析自体は今年度で完了していることから、今後は査読誌への投稿など、ピアレビューを受けることで、本研究の知見をより確からしいものとすることが求められよう。また、今年度までと同様、教育社会学及び周辺領域の情報収集を引き続き進めることで、本研究の知見についての議論を深めていく予定である。
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