研究課題/領域番号 |
22K20201
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0108:社会学およびその関連分野
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
吉村 さやか 日本大学, 文理学部, 助手 (80961606)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | ルッキズム / ジェンダー / 外見差別 / 問題経験 / 質的調査 / 見た目問題 / フィールドワーク / 社会学 / フェミニズム / ディスアビリティ |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、先天的・後天的な病気やけがによって外見が「ふつう」とは異なる人々の問題経験の具体的内実と、それへのジェンダーの影響を実証的に明らかにすることである。具体的な研究の方法は、海外の既存研究調査、当事者とその家族を対象とした生活史の聞き取り調査、質問紙調査の実施である。 本研究の創造性としては、第一に、これまでほとんど手つかずのフィールドにおける海外研究を検討したうえで、それらの知見を援用しながら調査を設計し、実施しようとする点である。第二に、質/量の両研究手法を通して、より網羅的に、且つ、より実証的に、当事者の問題経験とそれへのジェンダーの影響を把握しようとする点である。
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研究実績の概要 |
生まれつきのあざや変形、色素欠乏や脱毛など、先天的・後天的な疾患や外傷によって外見が「ふつう」とは異なる人々(=見た目問題当事者)が存在する。本研究が焦点化しているのは、当事者の問題経験(=曖昧な生きづらさ)である。 先行研究で既に指摘されているように、国内において当事者の存在は、当事者自身による活動や運動によって可視化したが、運動に携わる「克服した」強い主体は極めて限られており、その多くは問題経験の語りづらさを抱えている。この点をふまえると、これまで収集されてきた当事者の「声」の多くは、活動や運動に携わるごく一部の当事者に限られており、当事者内部の多様性により着眼した調査・研究が行われる余地は、いまだ十分に残されている。本研究ではこの点に着眼し、当事者、当事者家族、支援者を対象とした調査を通して、当事者の問題経験の具体的内実と、それへのジェンダーの影響を実証的に明らかにすることを目的とした。 今年度(2023年度)は、昨年度実施したプレ調査の結果をふまえ、当事者コミュニティでのフィールドワークを行い、見た目問題当事者とその家族、ならびに支援者を対象とした聞き取り調査を実施した。それらの調査結果をふまえたうえで、これまでの研究成果の集大成のひとつとして、単著を出版した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
今年度は昨年度の遅れを取り戻すべく、当事者コミュニティと積極的にかかわることにより、調査・研究は当初の予定以上に進展した。背景には、新型コロナウイルス感染の収束があり、フィールドワークやヒヤリングといった調査・研究が実施しやすくなったことがある。また昨年度、プレ調査として実施した外見差別(lookism) 、当事者の問題経験(facial-disabilities) 、ジェンダー(gender)に関する国内外の既存研究の網羅的収集とその内容の検討も、本年度の研究推進に大いに役立った。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、当事者内部の多様性により着眼した調査を実施する。具体的には、当事者コミュニティでのフィールドワークを継続して行いながら、新規調査協力者を探索的に探しつつ、聞き取り調査を実施する。また、それらの結果をふまえたうえで、調査フィールドの実態をより網羅的に把握することを目的とした量的調査(アンケート調査)も実施したい。
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