研究課題/領域番号 |
22K20203
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0108:社会学およびその関連分野
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研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
上林 陽治 立教大学, コミュニティ福祉学部, 特任教授 (10964322)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 専門資格職 / ジョブ・ローテーション / ジェネラリスト / 非正規公務員 / メンバーシップ型雇用 / ジョブ型雇用 / 日本型雇用 / ケースワーカー / 福祉専門職 / 地方公務員 / ジョブローテーション / 定員 |
研究開始時の研究の概要 |
日本は世界の先進諸国で最も公務員の少ない国の一つである。しかも住民福祉の最前線である市区町村の地方公務員の4割はワーキングプア層の非正規公務員で、その9割は女性である。とりわけ児童虐待、ドメスティック・バイオレンス、生活困窮者等の困難を抱える住民の相談支援にあたる職員の殆どが女性非正規公務員である。不安定雇用者に依存して進められる公共サービスにはたして持続性があるのか。 本研究は、上記に至った背景に、正規職員人事は異動前提、長期業務経験を要し異動にそぐわない専門資格職は非正規化したという仮説を立て、いくつかの地方自治体の人事ローテーション実態を分析し、当該仮説を立証しようとするものである。
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研究実績の概要 |
2022年度は、K市に2回調査に赴いた。1度目は2022年8月末で、K市地域共生社会推進課において、K市の重層的支援、とりわけコミュニティの社会資源を活用した支援システムについてヒアリングした。2度目は2022年10月末で、K市生活保護実施機関においてケースワーカーの異動ルールについてヒアリングし、人事課からは過去30年間の職員録を提供いただいた。またK市職員組合からのヒアリングを実施し、ケースワーカーとして勤務する非正規公務員の実情についてヒアリングした。あわせて地方公務員の非正規公務員の新制度である会計年度任用職員制度(2020年4月施行)について、その実施過程についてヒアリングし、資料提供も受けた。 2023年3月には、韓国ソウル市に赴き、市職員、韓国労働組合公務部門、ソウル市の労働研究機関、韓国政府並びにソウル市の労働委員会委員から韓国公務員制度(公務員法の適用のある公務員と労働法の適用のある公務職・契約職)について説明を受け、この10年間の推移に係る資料提供を受けた。また、チャットン(市自立支援センター)の人員構成や韓国における孤立・貧困に対する自立支援市民団体からもヒアリングした。 重層的支援に係る事例は、2020年の社会福祉法改正により制度化したものであるが、当該法改正が地域の生活困難者等の自立に与える影響を先行研究があまりないものであり、その点で、先駆的な研究成果になったものと思われる。 また韓国公務員制度・自治体公共サービスの提供体制に係る研究は、日韓双方において、研究が進んでいない領域なので、その点で、貴重な調査になったものと考えられる。 なお上記の2022年に実施した調査に基づき、後述の2つの学会報告ならびに3つの論文を執筆・公表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
K市における2度のヒアリング調査を実施し、重要な資料(人事関連情報)の提供を受けた。 また韓国・ソウル市において現地のコーディネーターの協力によりキーパーソンとなる方々へのヒアリングを実施し、日韓の公務員制度、とりわけ非正規公務員に関する法適用関係について確認することができた。これにより、研究対象としているソウル市の自立支援制度の実施体制について、今後追究すべき論点を明確にすることができた。 上記の調査に基づき、学会報告と3点以上の論文を公表できた。
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今後の研究の推進方策 |
K市より提供を受けた人事情報について、分析対象となる部局を絞ったうえで、人事ツリーを作成し、当該部局の在職年数、初任時の割合等を導きだし、福祉職等の専門職員のジョブローテーション化した過程について明らかにする。 上記の過程で、専門職非正規公務員の活用過程を明らかにし、K市における担当部局の追加調査を実施する。 今後の公務員人事の在り方、異動中心のジェネラリスト型から専門職ジョブ型制度への移行を展望する。 韓国公務員制度ならびにソウル市のチャットンの人員構成と経過については、追加調査を実施する。
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