研究課題/領域番号 |
22K20213
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0109:教育学およびその関連分野
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
水谷 柳子 金沢大学, 子どものこころの発達研究センター, 博士研究員 (90963588)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 自閉症 / 語用障害 / 内在化障害 / 性差 |
研究開始時の研究の概要 |
自閉症スペクトラム障害(ASD)は社会的コミュニケーション障害が特徴の一つであり、語用の拙さが社会的困難に結びつくことはよく知られている。語用障害には早期の介入・支援が求められるが、その際ASDの女児における困難さが男児に比べ把握されにくく診断が遅れる問題に注目する必要がある。ASDの女児は男児より有意に身体症状の訴えが多くなるなど負の影響が大きい。本研究は、4歳から15歳のASD児を対象に語用能力発達に性差はどの程度存在するか、語用能力の障害と内在化・外在化障害との関連に性差がみられるかの検討を行い、その結果から早期診断のための資料を提供し介入や支援に向けての提言を行うことを目的とする。
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研究実績の概要 |
4歳から15歳の自閉スペクトラム症児134名(女児26名/男児108名)を対象に語用能力発達に性差はどの程度存在するか、語用能力の障害と内在化・外在化障害との関連に性差がみられるかについて検討を行った。〈1〉ASD児の語用能力発達及び、不得意な語用下位領域について性差の検討〈2〉語用能力と問題行動・不安との関連性に性差による差異はあるかの検討。 子どもの語用能力調査には語用能力直接評価法「ことばのつかいかたテスト;TOPJC」を用い子ども本人に回答を求め、子どもの不安や内在化・外在化問題行動の評価については児の家庭での様子をよく知る養育者に「子どもの行動チェックリスト;CBCL」への回答を求めた。 〈1〉語用能力発達の性差について、TOPJC総正答数と年齢を用いて非線形混合効果モデルにより男女別に成長曲線の検討を行った。F検定の結果、両群に有意な差は認められなかった。しかし実験中女児は男児よりも比較的回答時間が短くスムーズに課題遂行する様子であった。これまではTOPJC総正答数の比較という量的な検討を行ってきたが、今後は回答時間測定や視線計測といった回答への質を考慮に入れた検討を行う必要があると考える。〈2〉子どもの不安や内在化・外在化問題行動と語用能力との関連について、先行研究の知見をもとに男女とも10歳以上の児(女児15名/男児49名)を対象に検討を行った。TOPJC総正答数と下位領域得点及びCBCLの各ドメインの点数を用いて相関分析を行った。男児は語用能力が低いと外在化問題行動の点数が上がる傾向が見られた。女児は男児とは傾向が違い、有意ではないものの比喩の理解能力が社会性の問題と関連している可能性が見えた。今回男児に比較して女児のサンプルサイズが小さいため明確な結果ではなかったが、今後女児のサンプル数を増やし詳細に検討を行う必要があると考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
理由として2点挙げられる。 1点目は、2023年12月までにデータ取得が完了し、引き続いてデータの解析に着手していることが挙げられる。その結果からASDの女児が持つ語用障害と不適応行動の関連が、男児とは違う傾向を持つ可能性が浮かび上がり、今後の支援への提言に繋げることが可能となった。 2点目として、2024年5月の国際会議、6月の国内学会にそれぞれ発表予定(アプセプト済)であり、当初予定より幾らかは後ろ倒しにはなったものの概ね目標は達成されたと考える。
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今後の研究の推進方策 |
今年度可能な限り女児のリクルートを行い、データの積み増しを図る。 国内外学会(学術会議)で積極的にディスカッションを行い、その結果を反映させながら論文執筆に進み、国際誌への投稿を目指す。
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