研究課題/領域番号 |
22K20223
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0109:教育学およびその関連分野
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
木澤 利英子 帝京大学, 先端総合研究機構, 助教 (20966189)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 日本語知識 / 英語学習 / 外来語 / 学習方略 / 指導観 / メタ言語能力 / 英語指導観 / 動機づけ |
研究開始時の研究の概要 |
日本の英語教育では、母語の使用を極力排除する傾向が見られる。しかし、学習者は英語学習時に母語知識を利用していることが明らかとなっている。したがって、発音の誤りなど、母語からの負の転移を最小化し、意味の推測といった正の転移を最大化できるような指導を行う必要がある。そこで本研究では、特に「外来語」に着目し、これを活用した指導法開発と効果検証を行う。1年目の調査では、母語を活用した学習への捉え方や、児童生徒のつまずきの所在を明らかにする。2年目の実践研究では、それらの示唆を踏まえ、英語の音韻や単語について、日本語の特徴と対比させながらより深い理解を促す指導法を開発し、その効果を多面的に検証する。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、日本語の知識を活用した英語学習法について、指導法の開発および効果の検証を行うことである。令和4年度は、日本語知識の活用法について大学生を対象とした3度にわたる調査を実施し、結果をもとに『日本語知識活用方略尺度』の作成を行った(2023年8月のAsia TEFL International Conferenceにて発表)。 また、小学校外国語科、および国語科の教科書全24冊の分析を行い、日本語と英語を対比的に捉えた上で「メタ言語能力の育成」を図る内容の抽出を行った。結果は児童英語教育学会で口頭発表したのちに論文化し、同学会の研究紀要(査読有)に修正採択され、現在修正投稿準備中である。 令和5年度は、英語科教員を対象に(n=700)、ローマ字や外来語をどのように指導しているかについて調査を実施した。その結果、それらについて明示的指導を実施していると回答した教員から(ローマ字140名、外来語316名)、具体的な指導方略について収集することができた。 それらを参考に、ローマ字知識を英語の音韻理解に繋げる授業を開発し、中学校1年生115名を対象に実施した。結果、ローマ字に対する認識が正確になるのと同時に、英語学習に対する効力感が向上することが示唆された(結果は関東甲信越英語教育学会において口頭発表)。また、外来語知識を英語の語彙学習に活用する授業の開発も行い、高校1年生36名を対象に実践した。結果、既有知識に結びつけることの有効性が高く認知されるようになるのと同時に、語彙学習に対する興味が喚起されることが示唆された。本実践は日本教育実践学会で口頭発表したのち、関東甲信越英語教育学会紀要(査読有)に採択され、現在印刷中である。 また、1度目のローマ字授業実践で見出された課題を踏まえて教材を改善し、2024年4月に2度目の実践を行い、現在結果を論文にまとめている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年4月に「ローマ字知識を英語学習に繋げる授業」を実施したが、様々な改善点が見出された。それらを踏まえて教材を改善し、2024年4月に、別の中学校1年生129名を対象に再び実践を行った。1年先になったのは、こうした授業を実施する適切な時期として、本格的な英語学習が始まる中学校1年生の春が挙げられたためである。本来、1度目の実践後に教材化、および論文化を行う予定であったが、それが1年伸びることとなり、現在執筆を行なっている。 しかし、それを除いては非常に良好な進捗状況であり、論文も2本採択され、無料でダウンロード可能な動画教材の作成も順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
2024年4月に実施した2度目の実践で得られたデータを分析し、1度目の実践内容と合わせて論文化する。2024年6月に日本教育実践学会に投稿予定である。また、改良を加えた教材については無料公開を行う予定であるが、動画化した試作版を用いて、英語科教員を対象に使用感調査を実施する予定である。 「外来語知識を英語語彙学習に繋げる授業」については、2023年に得られた結果をもとに、対象学年を広げ、小学生版、および中学生版の制作を予定している。特に「教科横断」の視点を導入し、他教科で使用されている外来語を抽出した上で、それらを英語語彙としての習得につなげることを目的とした教材作成を行う。当教材についても、令和6年度中の無料公開を目指す。また、これらの結果については、Asia TEFL(2024年11月)およびHawaii International Conference on Education(2025年1月)において発表予定である。
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