研究課題/領域番号 |
22K20233
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0109:教育学およびその関連分野
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研究機関 | 大阪人間科学大学 |
研究代表者 |
清水 凌平 大阪人間科学大学, 人間科学部, 助教 (00964446)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 令和の日本型学校教育 / 探究学習 / マルチプル・インテリジェンス理論 / 理科教育 / 個別最適な学び / 協働的な学び |
研究開始時の研究の概要 |
中央教育審議会は「個別最適な学び」と「協働的な学び」の一体化を示している。これにあたって,学習者の個性や能力,強みに焦点化することが肝要である。しかしながら,子供の個性・能力などをめぐっては,①個性などの把握が教師の主観的・経験的な視点から行われている現状,②協働学習において小集団を組む際に,個性などの多様性を担保する難しさ,③ 学習者の個性などが包括的に発揮される実践例が僅少であること,などの問題が挙げられる。本研究ではMI理論に基づく可視化,グルーピング手法や自由度の高い協働的な探究プロセスを用いることで「個別最適な学び」と「協働的な学び」の一体化実現に向けた理論・実践基盤の形成を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は,「マルチプル・インテリジェンス(MI)理論および自由度の高い協働的な探究プロセスの活用による「個別最適な学び」と「協働的な学び」の一体化実現のための理論・実践基盤の形成」である。それを踏まえ,目的達成のための目標を以下の3つと定めた。 Ⅰ)学習活動において活動者の各インテリジェンスがどのように表出するのか,またその特徴を明確化する。 Ⅱ)MI理論に基づいてグルーピングされたグループ・班において,活動者それぞれが持つインテリジェンス同士がどのような相互作用を及ぼしているのかを検証する。 Ⅲ)幅広い校種に対応した自由度の高い協働的な探究プロセスを開発し,教育実践とその分析を重ねることで実践基盤の形成を行う。 研究開始2年目となる令和5年度は,既存の自由度の高い協働的な探究プロセスについて,整理と分析を行った。現在までに開発され,実践が重ねられている自由度の高い協働的な探究プロセスの多くは,中学生および高校生を対象としたものが多く,初等教育段階での探究プロセスは例が少ない。 以上を基にして,小学校などでの実践も視野に入れた探究プロセスの開発を行った。開発に当たっては,より広範で多様な良さや強み,力が発揮できるよう,STEAM教育におけるA(アート)の視点も加えることととした。開発した探究プロセスを基にして,小学校,中学校,高等学校において出前授業として授業実践を行った。授業では,学習活動に没頭する活動者の姿が見られ,日々教育活動を行っている担当教員から日々の授業では見られない児童生徒の姿についての様子が随所に見られたとの意見を得ており,学習者の多様性を発揮する場のデザインがなされていることが示唆される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画において,本研究は①理論研究,②開発研究,③実践研究,④評価研究の4段階に分けており,①理論研究においては,当初予定していた先進事例調査の一部について,実施を見送る形になったものの,質問紙調査などから学習者が持つ個性や強みについての実態について,明確にすることができたと考える。 また,2年目は②開発研究および③実践研究に着手しており,既存の自由度の高い協働的な探究プロセスの整理・分析から得た見地を基に学習者の多様な個性や強みを生かせる探究学習の開発・実践を行うことができた。特に,国内の小学校,中学校,高等学校において実践を行い,実践後に質問紙を実施できた点は大きな成果であると考える。 得られた質問紙調査の結果を今後分析することで,実践した探究プロセスについて評価を行い,今後の実践に向けての改善および,別の題材を用いた探究プロセスを開発することで,より多様な学習者の個性や強みが発揮されることを目指していく。
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今後の研究の推進方策 |
開発した探究プロセスについて,さらに実践を重ねることが必要であると考える。それと並行して,実践後に行った質問紙について,量的・質的の両面からの分析を行うことを通して,探究プロセスで見られる学習者の実態を明らかにしていく。現状で得られているデータについては,質問紙による記述データが中心であるが,音声データや映像での記録の収集し,より立体的に学習者の姿を明らかにする。 開発した探究プロセスおよび分析結果について,口頭,紙面での公表を目指し,教員が幅広く利活用できる方法を模索していく。 学習者の個性や強みを生かす探究学習の結果として,学習者にどのような変容が見られるのかについても検討を重ね,学習者のウェルビーイングなどと関連付けながら,「次世代の探究活動の在り方」を深く探っていく必要があると考える。
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