研究課題/領域番号 |
22K20238
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0109:教育学およびその関連分野
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研究機関 | 国立研究開発法人森林研究・整備機構 |
研究代表者 |
大塚 啓太 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 研究員 (20963797)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 自然への愛着 / 森林体験 / 環境教育 |
研究開始時の研究の概要 |
環境教育における森林体験学習は自然への愛着の醸成を狙う場合が多い。ただし、自然への愛着の醸成は短期的な体験学習のみでは完結せず、その後も学習者に森林接触機会があるかでその効果には差が生じ得る。森林体験学習に際し、その効果を高める知見として、学習者の身近に継続的に森林に触れられる場があることの影響を検証する必要がある。そこで、本研究は、学校周辺に身近な森林が存在するようになったことが学習者の自然への愛着の醸成にどう影響するかを検証する。都内・地方大学生を対象に心理測定尺度質問紙を用いた1年間の縦断調査を行い、森林が身近にある大学への移動を契機に、学生のその後の自然への愛着の醸成過程を解明する。
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研究実績の概要 |
前年度に検討した自然への愛着に関する心理測定尺度を用いて、森林が学校周辺に身近にある/ない大学1年生へ1年間に3回(2023年4月、2023年9月、2024年1月~2月)の時系列的な調査(縦断調査)を実施した。この時、出身高校を問う質問項目を追加し、本研究の目的である、森林が身近にある大学へ進学したことを契機とした大学生の自然への愛着の醸成過程を解明することを試みた。なお、人口集中地区の定義に倣い、大学所在地・高校所在地の人口密度を基準に「都市」と「地方」を分け、都市/地方高校→都市/地方大学への移動を想定して調査参加者を群分けし、また、それぞれの森林被覆率についても検討することとした。 その結果、対象者は、「地方高校→地方大学」進学者、「都市高校→都市大学」進学者、「地方高校→都市大学」進学者、「都市高校→地方大学」進学者の順に多かった。「地方→地方」進学者は1年間で自然への愛着は向上していることが伺えたのに対して、「都市→都市」群は低下していた。また、「地方→都市」群は全体の愛着は維持傾向であったが、自然に回復感を求める志向はやや減少していた。これらから、学習者の周辺環境要因として自然の多寡やそれが変化することは愛着醸成に影響することが考察できた。ただし、「都市→地方」進学者は統計解析に十分な回答者を得られなかったため、その他の3群について統計解析を実施し、より詳細な自然への愛着の変動を確認中である。 これらの成果を日本環境教育学会、日本心理学会にて成果発表し、日本森林学会、第13回サイバーフォレストシンポジウムで話題提供した。また、本調査で得られた自然への愛着に関する質問項目を用いて教育実践事例を評価する調査を追加実施した。この成果については現在論文投稿中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度計画していた縦断調査については完遂することができた。ただし、調査依頼先となった各大学の都合等の理由から、調査実施時期がやや長期に渡ってしまった。このため、本調査の分析についてやや進行が遅れている。本調査の成果を十分に検討する期間を確保するため、当初より計画期間を1年度延長する判断をした。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の調査を基に①自然への愛着質問項目に関する解析、②大学進学による周辺環境の変化と1年間の自然への愛着の変化の対応関係に関する解析を実施する。①を実施することにより、自然への愛着を構成する因子を統計的に解析する。そして、その因子を基に②を実施し、周辺環境要因が具体的にどのような自然への愛着の変化を生じさせるかを明らかにする。
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