研究課題/領域番号 |
22K20275
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0109:教育学およびその関連分野
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
小長井 晶子 名古屋大学, 教育発達科学研究科, 助教 (30950927)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 就学援助 / 就学奨励 / 教育扶助 / 生活保護法 / 教育福祉 / 戦後教育史 / 生活保護 |
研究開始時の研究の概要 |
子どもの貧困率が高止まりする今日、子どもに関わる諸制度は教育と福祉を分裂させた個別の支援となっており、子どもの成長発達の保障において教育と福祉の権利を総合的に捉えられていないことが指摘される。本研究では、1950年代の就学援助制度の成立過程に焦点を当て、1)国の教育行政と福祉行政が教育と福祉の権利を統合的に捉えられなかった要因を明らかにするとともに、2)子どもの現実の具体的ニーズに根差して、教育の支援を提供した形跡のある地方自治体の就学援助の実態を解明する。このような方法で、就学援助に係る中央政府の機能の変容過程と地方自治体の動向を往還的に把握し、多角的・動態的に制度の形成過程を解明する。
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研究実績の概要 |
戦後日本においては、生存権と教育を受ける権利を保障した憲法の下で、それぞれの法制度に依拠した福祉行政と教育行政の縦割りが長らく続いてきたため、子ども関連諸制度においても教育と福祉が統合的に捉えられてこなかった。一例として、貧困世帯に対する義務教育就学費用の援助制度においては、文部科学省が管轄する就学援助と厚生労働省が管轄する教育扶助(生活保護)が競合する二元的な制度形態となっており、貧困児童の就学保障における教育と福祉の分裂状況があるために子どもの成長発達が十全に保障されなかったと批判されてきた。そこで、本研究では、現行の就学援助制度が成立し、また、生活保護法が制定された1950年代を主な射程として、(1)国の教育行政と福祉行政が教育と福祉の権利を統合的に捉えることができなかった要因を明らかにするとともに、(2)国に先んじて行われていた地方公共団体の就学援助策によって企図された、経済的に困窮する子どもの教育ニーズへの応答施策の制度化過程を解明することを目的とした。 初年度は、①研究環境の整備、②上記(1)に関する資料収集及び研究成果の取りまとめ、③上記(2)に関する一部の資料の収集を行なった。 ①研究に使用する機器の設置、文献収集の収集により、調査研究が始められる研究を整えた。 ②小川政亮が収集した「戦後日本社会保障資料」(明治学院大学蔵)所収の資料を収集した。これらを用いて、1950年代前半の就学援助制度の成立過程について論稿としてとりまとめ、学術雑誌に投稿するとともに、上記(1)の課題に係るこれまでの研究成果を学位論文としてまとめた。 ③鳥取県において戦前の就学援助の実施に関する資料を、横浜市において戦後の就学援助に関する資料の収集を行なった。両者とも、追加の資料収集が必要であるが、今後収集すべき資料も把握できたため、次年度はスムーズに資料収集を行うことが見込まれる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は当初の予定通り、研究環境の整備を行うことができたとともに、予定にはなかった一部の研究成果のとりまとめをとりまとめることができた。そのため、資料収集については当初の計画ほど順調できなかった部分もあるが、総合すると、おおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、初年度に十分行えなかった地方公共団体での資料収集及び収集資料の整理を行い、これまでほぼ明らかにされてこなかった就学援助の実態を明らかにする予定である。これにより、初年度の研究成果と合わせて、就学援助に係る中央政府の機能の変容過程と地方自治体の動向を往還的に把握し、多角的・動態的に制度の形成過程を解明することを目指す。
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