研究課題/領域番号 |
22K20282
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0109:教育学およびその関連分野
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研究機関 | 國學院大學 |
研究代表者 |
前田 麦穂 國學院大學, 人間開発学部, 助教 (10963316)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 教員採用 / 教員不足 / 民間企業 / 就職活動 / 大学生 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、民間企業の採用活動早期化という新規大卒労働市場の制度的変化が、近年の教員採用選考試験の受験者数減少に与えた影響を実証的に明らかにすることである。具体的には、進路選択において教職を視野に入れた大学生を対象として、就職活動の終了時期と教員採用選考試験の実施時期が、教職選択に与える影響を検討する。分析においては、「① 大学生の就職活動時期に関する調査データ」と「② 教員採用選考試験の実施時期に関するデータ」を紐づけた独自のデータセットを構築する。このデータセットから、就職活動終了時期や教員採用選考試験の実施時期が、大学生の教職選択に対する効果を持つかを検討する。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、民間企業の採用活動早期化という新規大卒労働市場の制度的変化が、近年の教員採用選考試験の受験者数減少に与えた影響を実証的に明らかにすることである。2010年代後半以降、教員採用選考試験の採用倍率低下の原因の一つとして、中学・高校における新卒者の受験者数減少が指摘されてきた。先行研究はミクロな観点から、個人の心理的要因(教職の魅力の低下)・経済的要因(給与水準の低さ)による説明を行ってきたが、マクロな観点からの検討が不十分だった。これに対し本研究は、新卒労働市場の制度的変化、すなわち明文化されたルールの変更による民間企業の採用活動早期化に着目することで、受験者数減少のメカニズムをミクロ・マクロの両面から解明するという意義を持つものである。 本年度の研究成果は以下の2点である。 (1)内閣府が実施した大学生の就職活動時期に関する質問紙調査の個票データの分析を行い、学生の内々定獲得時期や就職活動終了時期の早期化が、教職選択にどのような影響を与えたのかを検討した。その結果、①2016年調査(2017年春卒業の大学生向け採用)以降、教育実習を履修した大学生の内々定獲得時期は早期化しており、教員採用1次試験の実施される7月以前に、多くの学生が最初の内々定を獲得するようになった。②最初の内々定獲得が7月以前であることは教職志望に負の効果を与えているが、同時に進路選択における学生の選好も教職志望に影響していた(WLB、女性の活躍、職場の雰囲気の良さを重視する学生は、教職を志望しない傾向にある)。この研究成果は、日本教育社会学会第2回若手チャレンジ研究会(2023年3月21日)にて報告を行った。 (2)文書資料のデータ化作業を行い、各都道府県・政令指定都市等による教員採用選考試験の実施時期の県市別データを作成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画においては、(1)大学生の就職活動時期に関する調査データ、(2)教員採用選考試験の実施時期に関するデータの二つを用いて分析を行う予定であった。以上のうち(1)については上述したように分析を進め、研究成果の一部の発表も行うことができた。(2)のデータ作成も順調に進み、完成させることができた。2023年度は(2)の分析も進める計画である。
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今後の研究の推進方策 |
当初の研究計画においては、上記の(1)大学生の就職活動時期に関する調査データと(2)教員採用選考試験の実施時期に関するデータを紐づけた統合データセットを分析し、研究を進める予定であった。実際に統合データセットを作成し分析を試みたが、調査設計の問題で(1)と(2)を厳密に対応させることができないという課題が生じたため、当初の分析の計画を変更することにした。具体的には、(2)のデータに教員採用選考試験の受験者数や採用辞退者数のデータを紐づけることで、実施時期の変化と受験者数や採用辞退者数の変化の関係を検証することを計画している。
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