研究実績の概要 |
本研究の目的は,不登校予防のための新たな保護者評定版アセスメント尺度(以下,アセスメント尺度)を開発し,本尺度の臨床的有用性を確認することである。近年,我が国においては,19万人以上の不登校児童生徒が報告されており,1990年以降,こうした子どもを支援するために,適応指導教室,夜間中学,チャレンジスクール(定時制高校),民間のフリースクールなどが,次々と立ち上げられてきた。しかしながら,我が国で行われている支援策のほとんどは,不登校状態になった後の子どもを想定したものであり,不登校を未然に防ぐための予防策ではない。すなわち,登校はしているが,登校をしぶっている子どもの支援は,学級担任や保護者の力量に委ねられている状況である。本研究では,長期的な欠席に陥るか,それとも,登校を続けるか,という分岐点ともいえる登校しぶりに着目し,行動論的観点から,不登校予防に資する保護者評定版アセスメント尺度を開発する。初年度である2022年度は,本研究の実施にあたり,研究倫理の書類申請および文献レビューを行った。2022年度末から2023年度7月にかけては,アセスメント尺度を作成するにあたり,項目の抽出のためのインタビュー調査を実施した。その後,インタビュー調査の結果をもとに項目を精査し,アセスメント尺度の因子に関する仮説と項目の生成を行った。
(1)Yamada. T., Sato. A., So. Y. Kobayashi. K., & Fujii. Y. (2023). Review of cognitive-behavioural approaches for school absenteeism in Japan. Asia Pacific Journal of Counselling and Psychotherapy, Published online: 29. (2)山田達人,飯島有哉(2023).不登校と学校で求められる支援 学校メンタルヘルス,25巻2号,174-176. (3)山田達人・飯島有哉・桂川泰典・藤井靖(2023).不登校に対する認知行動論的支援の効果―システマティックレビュー― 学校メンタルヘルス,26巻1号.
|