研究課題/領域番号 |
22K20305
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0110:心理学およびその関連分野
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研究機関 | 愛知学院大学 |
研究代表者 |
小野島 昂洋 愛知学院大学, 心理学部, 講師 (80964163)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 重回帰分析 / 測定誤差 / 信頼性係数 / 測定モデル |
研究開始時の研究の概要 |
重回帰分析は心理学の研究において頻繁に用いられるが,独立変数に測定誤差が含まれた場合には分析結果にバイアスが生じることが知られている。本研究の目的は,測定誤差によって生じるバイアスへの対処法を心理学の研究に適した形で提案することである。モンテカルロ・シミュレーションとアンケート調査による実データの分析を組み合わせて検討を行う。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は心理学的研究に適した形で,独立変数に測定誤差が含まれる場合の重回帰分析のバイアスの修正法を提案することであった。 2023年度は,重回帰分析において独立変数に測定誤差が含まれる場合に生じる偏回帰係数のバイアスの性質およびその対処法を探るためのモンテカルロ・シミュレーションを行った結果をまとめて学会での発表を行なった。主要な結果として,2つの独立変数間の相関が高い場合には変数間の信頼性のばらつきによって大きなバイアスが生じる可能性があるため対処を要すること,α係数もしくはω係数などの信頼性係数の情報を組み込んだモデルを用いて偏回帰係数を推定することでバイアスを修正できる可能性があることの2点を示した。シミュレーションの条件下においては修正に用いる信頼性係数による大きな違いはなかった。学会発表での他の研究者との議論から,独立変数の測定誤差が仮説検定に及ぼす影響も研究者にとって有益であると判断し追加のシミュレーションを実施して,その成果について次年度の学会発表に向けて整理を行なった。 また,シミュレーションで用いたバイアス修正の鍵となるのは,独立変数についての信頼性の正確な推定値を得ることであったため,一般化可能性理論を用いて信頼性を評価する枠組みについて検討した。従来の心理測定における信頼性の評価では,古典的テスト理論が用いられてきたが,一般化可能性理論を用いることで,多様な誤差の原因に対応した信頼性の評価が可能になり,バイアス修正の精度も高まることが期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初予定していたシミュレーションは終了したが,その過程で追加のシミュレーションを行う必要が生じたため,その準備のために実データの取得が実施できていない。現在,オンライン調査の準備中である。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度にはオンライン調査を行なって実データを取得し,シミュレーションに含めた手法の応用可能性を評価する予定である。また,この手法の鍵となるのが独立変数の信頼性の正確な推定値を得ることであるため,心理学で信頼性の推定値を算出する際に標準的に用いられる古典的テスト理論よりも精緻に信頼性の評価が可能である一般化可能性理論の心理測定への応用可能性も検討する。
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