研究課題/領域番号 |
22K20320
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0110:心理学およびその関連分野
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研究機関 | 埼玉県立大学 |
研究代表者 |
谷辺 哲史 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 助教 (20964480)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 人工知能 / 倫理的判断 / 社会規範 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、人々が人工知能(AI)に期待する倫理的判断を実証的に検討する。 人間の日常的な意思決定は必ずしも一貫した倫理的規則に従っておらず、たとえば自動車の運転では周囲の車の流れに合わせるために法定速度を破るように、状況に応じて従うべき規則を使い分けている。自動運転のようにAIが人間の判断を代行するようになると、このような柔軟な倫理的判断をAIも行うべきなのかという問題が生じる。本研究では、人々がAIに対して抱く期待を明らかにすることで、社会的に受容される技術開発を進めるための基礎データを提示する。
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研究実績の概要 |
本年度の研究では、人工知能の実用化が進んでいる分野として自動車の自動運転を取り上げ、人間と人工知能に対して期待される暗黙の規範を比較する研究を行った。 1つ目の調査では、予備調査としてインターネット調査を実施し、自動車の運転に関わる暗黙の規範の事例を自由記述形式で収集した。 2つ目の調査では、暗黙の規範の具体例として法定速度と実勢速度(道路上で多くの車が実際に走行している速度)との乖離を取り上げ、人間と人工知能では従うべきと見なされる規範が異なるかを検討した。具体的には、人間のドライバーが運転する自動車または人工知能によって操作される自動運転車が、法定速度を守って実勢速度よりも遅く走行するという場面を想定し、そのような自動車の振る舞いが適切であるかについて評定を求めた。しかし、人間の場合と人工知能の場合で評定に差は見られず、仮説を支持しない結果であった。どちらの条件においても、基本的に法定速度に従うことは適切であるという回答が優勢であり、社会的望ましさに影響された回答となっていた可能性がある。 今後は、本調査で収集した個人差要因などが道徳判断と関連しているか探索的に分析を進め、新たな仮説の生成につなげるとともに、社会的望ましさの影響を抑えるようにシナリオを改善して新たな調査を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年度は当初の計画通り、研究1(明示的な規範と暗黙の規範が食い違う場面での行動への期待)について調査を行った。分析結果は仮説を支持しないものであったが、調査内容の改善によって、より妥当な形で仮説を検証できる可能性がある。そのため、当初の計画よりも研究1の実施にあてる期間を延長し、2023年度前半に調査内容を改善して新たな調査を実施する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
上記の通り、本年度に実施した調査では仮説を支持しない結果が得られたが、探索的な分析と調査計画の改善を施したうえで、2023年度前半に新たな調査を実施する予定である。 また、2023年度に実施する計画である研究2(行為者の道徳判断の一貫性に対する期待がAIと人間で異なるかを検討するもの)については、予備的な分析を兼ねた内容を上述の新たな調査に組み込むことで、2つの研究を並行して実施することを検討中である。これにより、当初の計画通り2つの研究を2023年度中に完了することが可能である。
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