研究課題/領域番号 |
22K20326
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0110:心理学およびその関連分野
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研究機関 | 福山大学 |
研究代表者 |
濱本 有希 福山大学, 人間文化学部, 助手 (10966956)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | ポリグラフ検査 / ソースモニタリングエラー / 犯罪常習者 / 事象関連電位 |
研究開始時の研究の概要 |
検挙される犯罪のうち,繰り返し同種の犯罪を行う常習者の割合の多さが問題視されている。そして,常習者は犯罪に関する複数の記憶を有しているため,記憶を検出対象とするポリグラフ検査では検出が困難となるケースがある上,基礎研究レベルではほとんど研究対象とされていなかった。そこで,本研究では,実務を出発点とするポリグラフ検査の手続きに対し,実験心理学的な記憶研究の知見を援用することで,常習者を対象とした場合でも効率的に記憶検出が可能となる方法の確立を目指す。
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研究実績の概要 |
短い期間内に同じ罪名の犯罪を繰り返している犯罪常習者対象のポリグラフ検査では,情報源記憶エラーによる検出率低下が生じる。情報源記憶の研究では,記憶の符号化時にネガティブな情報と対になっていた情報の情報源記憶が正確になることがわかっており,犯人にとってネガティブな情報と結びついた犯行の情報源記憶にはアクセスしやすいと考えられる。そこで,本研究では,犯罪者にとってネガティブな防犯カメラの存在がP300によるポリグラフ検査における検出率に影響するか検討した。 2度の模擬犯罪課題により常習者を模した参加者について,1度目の模擬窃盗課題の現場でネガティブ情報である防犯カメラを発見したカメラあり群と,カメラを発見しなかったカメラなし群に振り分け,2度の模擬窃盗に関するポリグラフ検査を行った。すべての参加者は最初の模擬窃盗課題から2週間後に2回目の模擬窃盗課題を行い,さらに2週間後にポリグラフ検査を受けた。カメラあり群では,最初の模擬犯罪を行った部屋に防犯カメラが設置されていた。 その結果,カメラの有無によって裁決刺激の弁別の精度が異なっていた。つまり,カメラあり群は,最初の模擬犯罪ではネガティブ情報により記憶が正確となり、2回目の模擬犯罪までアクティベートされたことで,検査までの期間がより短い2回目の検出精度が向上したと考えられる。実務場面では,犯罪常習者への検査であっても1つの事件に絞って検査を行う必要があるが,検査までの期間が最も短い事件を検査対象とすることが効果的かもしれない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実験を完了し,データの収集と分析を終えた段階であり,仮説に基づいた予想通りの結果が得られている。現在は論文の執筆段階に移行している。
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今後の研究の推進方策 |
今後は,得られた結果を学会や学術雑誌等で発表することにより,社会への還元を図りたいと考えている。
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