研究課題/領域番号 |
22K20344
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0201:代数学、幾何学、解析学、応用数学およびその関連分野
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
中島 秀太 明治大学, 理工学部, 専任講師 (70962893)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | Percolation / Chemical distance / Large deviations / Spin glass / FPP / KPZ equawtion |
研究開始時の研究の概要 |
ランダム媒質モデルとして代表的な、最適浸透問題及びKPZ方程式について研究する。
最適浸透問題については、揺らぎの発散性を中心に研究する。揺らぎの発散性は、最適経路の局在性とも関係する重要な問題である。これらを解決することで、最適浸透問題のランダム幾何学としての特異な性質が明らかになると考える。
高次元KPZ方程式について、高温領域において多くの研究がされているが、中間及び低温領域における解の構成やその性質は、重要かつ難解な問題として知られている。まず、中間領域においてKPZ方程式の解析を進め、高次元KPZ方程式において有効な手法を探していく。
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研究実績の概要 |
Barbara Dembin氏 ( ETH )と共同で立方格子上の超臨界結合パーコレーションの化学距離に関する大偏差原理を研究た。化学距離は、パーコレーショングラフのグラフ距離を表し、無限クラスターの幾何学的性質を解析する上で重要な対象である。この研究では、三次元以上のモデルに対し上側大偏差のレート関数の存在を証明した。さらに、上側大偏差事象が、指定された時間後に全ての経路が通過しなければならない、時空間カットポイントによって引き起こされ、これにより測地線がより多くの時間を消費することを示した。これにより、時空間カットポイントに関してレート関数を表現することができる。この研究は、長年未解決であったレート関数の存在を示すだけでなく、時空間カットポイントという新しい概念でそれが明確に表現できたという点で、意義深いものであると考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
上側大偏差のレート関数の存在を証明できたことは、研究の初期段階では予想していなかった結果であり、研究が予想以上に進んでいることを示している。
また、時空間カットポイントという新たな概念を導入し、レート関数を表現する方法を見つけることができたことも重要である。このアプローチは研究の進行に新たな理解をもたらし、さらなる研究の展開が可能になった。この研究が他の関連分野への応用が期待されることから、研究成果の影響力が当初の計画を超えて広がっていると感じられる。
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今後の研究の推進方策 |
今年度の研究推進方策は次の二つである。 1. 2次元のレート関数の存在に関する研究: 2次元の場合にもレート関数の存在を証明することを目指す。これを達成するために、既存の理論や手法を検討し、2次元の問題に適用できるかどうか議論する。必要に応じて新しい数学的手法を開発し、証明のためのアプローチを模索する。 2. 時空間カットポイントの詳細な解析: 時空間カットポイントの性質や振る舞いをより深く理解することを目的に研究する。時空間カットポイントの幾何学的性質や相互作用に焦点を当て、それらがレート関数や化学距離にどのような影響を与えるか解析する。
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