研究課題/領域番号 |
22K20353
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0202:物性物理学、プラズマ学、原子力工学、地球資源工学、エネルギー学およびその関連分野
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
西早 辰一 東京工業大学, 理学院, 助教 (80966078)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | トポロジカル半金属 / 薄膜 / 磁性 / ホール効果 / 量子輸送現象 / スピントロニクス |
研究開始時の研究の概要 |
磁性ワイル半金属相は、これまでのトポロジカル相と異なり、非自明なバルク状態がギャップレスな電子相であり、バンド縮退点となるワイル点の巨大なベリー位相や、特異な電荷・磁化の結合を動作温度に縛られることなく応用できる可能性を秘めている。本研究では、理想的な磁性ワイル半金属相を実現する4f磁性半金属物質に着目し、その高品質薄膜をベースとした積層構造において、ワイル点に由来する量子輸送現象の解明・制御を目指す。
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研究成果の概要 |
本研究は、磁性トポロジカル半金属として理想的なエネルギー構造を実現することが予想される物質群について、分子線エピタキシー法で高品質薄膜・ヘテロ構造を作製し、ワイル点の巨大なベリー位相とカイラリティに由来する伝導現象の解明を目指した。理想的な候補物質と当初予想されたEuCd2As2が実験的にはバンドギャップを有する電子状態を持つことを明らかにした一方、多数のワイル点ペアを持つEuCd2Sb2薄膜においては、印加磁場による磁化過程や磁場の印加方向に依存したベリー曲率の変化とそれを反映した非単調な磁気抵抗効果や面内異常ホール効果の観測・解明に成功した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
ワイル点ペアを一つのみ持つ理想的な物質と当初予想されていたEuCd2As2の低キャリア濃度試料を実現し、実際にはバンドギャップを持つ絶縁体であることを実験的に示したことは、ワイル半金属相を前提としたこれまでの当該物質の先行研究の解釈を覆す重要な発見であると言える。また、ワイル半金属相を実現するEuCd2Sb2薄膜において得られた磁気抵抗効果や異常ホール効果は、4f系ワイル半金属物質の利点でもある磁気秩序の独立操作によってベリー曲率分布やそれに付随した量子輸送現象の制御や新規開拓が可能となることを示しており、今後のワイル半金属物質における機能性開拓の指針になると考えられる。
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