研究課題/領域番号 |
22K20368
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0203:素粒子、原子核、宇宙物理学およびその関連分野
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研究機関 | 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構 |
研究代表者 |
板橋 浩介 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 量子場計測システム国際拠点, 研究員 (70966499)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | nnΛ / HKS / HRS / JLab / ハイパー核 / 中性原子核 / 原子番号0 |
研究開始時の研究の概要 |
nnΛは中性子とΛのみで構成された原子番号ゼロの中性原子核であり、その存否について注目を浴びている。また、nnΛの構造分析を行うことによって、不確定性が大きいΛn相互作用に対して実験的に有益な情報が得られると期待される。 本研究では先行実験では課題となっていたnnΛの収量を増加するために、東北大学が開発した高分解能Kaonスペクトロメータ(HKS)とJLab既存の高分解能スペクトロメータ(HRS)を組み合わせた新しい実験セットアップを確立する。また、角度分解能を改善するためにCIGS半導体を使った粒子飛跡角度の校正手法の開発を進め、高分解能・高統計を持ってnnΛ状態を本研究で明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究は中性Λハイパー核(nnΛ)の存否を明らかにするため、アメリカのジェファーソン研究所(JLab)において次世代nnΛ探索実験(第二弾)を計画・推進を本実施期間2年で計画されたものである。初年度である令和4年度は研究計画書に挙げられている本実験セットアップ(HRS-HKSスペクトロメータ)のシミュレーション環境構築及び国際会議での公表を行った。 1. Geant4によるHRSシミュレーション環境の構築 本実験は十分な有意性(5σ)を持ったnnΛ構造の観測を目的としており、それを満たすためにnnΛの収量を見積もる必要がある。nnΛの収量を見積もるためにはnnΛの生成断面積情報と、スぺクトロメータの性能を考慮した精密なシミュレーション環境(HKS-HRS)を使った分解能評価が必要となる。現在、JLab既存のHRSスペクトロメータはJLab スタンダードシミュレーション(SIMC)によって構築されている。一方、本実験では高分解能Kaonスペクトロメータ(HKS)と組み合わせて使用するため、HKSのGeant4シミュレーション環境とHRSのシミュレーション環境を統合する必要がある。そこで、JLabの研究者と議論を進め、SIMCを理解し、次世代実験のGeant4でのシミュレーション環境構築を進めてきた。 2. 国際会議での公表 2022年7月に行われたハイパー核の国際会議(HYP2022)において、研究実績(1)で構築したGeant4シミュレーションでHRSのアクセプタンスを見積もり、Λ準自由分布の微分断面積の評価し、公表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究ではJLabで高統計を可能とする次世代nnΛ探索実験(第二弾)のシミュレーション環境を構築し、nnΛの存否を明らかにするために必要なビームタイム・実験設計を行う。その中、初年度である令和4年度はJLabで第二弾となる次世代nnΛ探索実験のシミュレーション環境(HRS-HKS)を構築し、nnΛピークの有意性(<5σ)を示すために必要なnnΛの収量を見積もることを目標としていた。しかし、コロナ禍による渡米の制限からJLab研究者との議論が想定より進まなかったことからHRSのGean4シミュレーション環境の構築段階に留まった。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度となる令和5年度は前述したHRS-HKSのシミュレーション環境の構築を引き続き進め、nnΛの存否確定に必要な収量を評価し、要求ビームタイムの見積を行う。 また、計画中の次世代実験を施行に向けて現地の研究者と議論を進めていく。 また、本実験では放射線物質(トリチウム)標的を使用するため、放射線耐性・安全性について知見を深める。
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