研究課題/領域番号 |
22K20369
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0203:素粒子、原子核、宇宙物理学およびその関連分野
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
本郷 優 新潟大学, 自然科学系, 助教 (10779656)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | スピン緩和 / 近似的対称性 / スピン / 軸性電荷 / 相対論的流体力学 / QCDプラズマ / 軸正電荷 |
研究開始時の研究の概要 |
連続対称性が明示的に少し破れた物理系は,ネーターの定理の拡張により近似的に保存する電荷を持つことが示される.近年,高エネルギー重イオン衝突実験で作られるクォーク・グルーオン・プラズマ中におけるスピンのダイナミクスや軸性電荷のダイナミクスに関して,興味深い実験結果が得られつつある.本研究では,保存電荷のマクロダイナミクスを記述する流体力学的記述を拡張することで,近似的にしか保存しない電荷(スピンや軸性電荷)の緩和ダイナミクスを記述する一般論を確立し,QCDなどの微視的理論から緩和率を評価する.
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研究成果の概要 |
連続対称性が明示的に破れた場合,対応するネーター電荷はもはや保存されなくなる.このような状況をハドロン物理学において考慮し,ハドロン多体系において見られる緩和ダイナミクスの理論的定式化と評価を研究した.特に,相対論的重イオン衝突実験においてラムダ粒子のスピン偏極が観測されていることに着目し,バリオン(核子およびラムダバリオン)のスピン緩和に焦点を当てた研究を行った.その結果,熱的なパイ中間子気体中におけるバリオンのスピンダイナミクスを記述する運動方程式を導出し,パイ中間子との散乱過程に関する情報に基づいて,核子およびラムダバリオンのスピン緩和率を具体的に評価した.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
相対論的重イオン衝突実験はほぼ光速まで加速された原子核を衝突させることで1超度を越える極限状況の物質を生成し,その性質を調べることを目的としている.近年,生成されたラムダ粒子のスピン偏極が測定されたことで,実験で生成された超高温の物質が非常に大きな角速度を持っていることが示唆されている.しかしながら,生成された物質中におけるスピンのダイナミクスを記述する理論的方法はこれまで明らかになっていなかった.本研究ではこの点を解決し,生成された物質中におけるバリオン(核子・ラムダ粒子)のスピンが緩和ダイナミクスを示すことを理論的に明らかにした.
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