研究課題/領域番号 |
22K20378
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0204:天文学、地球惑星科学およびその関連分野
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
田畑 陽久 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 特任研究員 (70962372)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 宇宙風化 / フォボス / 火星 / 表層進化 / 大気進化 / プラズマ |
研究開始時の研究の概要 |
現在の火星は乾燥した惑星であるが、過去には液体の水を有していた。火星がどのようにして水を喪失したかを知る上で、火星大気の散逸過程を復元することは重要である。日本の探査計画MMXにおいてサンプルを持ち帰る予定である火星衛星フォボスには現在も散逸を続ける火星大気由来の酸素プラズマが降り注いでおり、もし酸素プラズマの照射が物質に記録されていれば、火星大気散逸過程を復元できる可能性がある。本研究では酸素プラズマによる固体惑星試料の宇宙風化実験を行うことで、酸素プラズマが固体惑星試料に与える影響および基礎的な過程を明らかにし、MMX探査機のデータ解釈に必要な知見を与える。
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研究実績の概要 |
本研究では、酸素プラズマによる固体惑星試料の宇宙風化実験を行うことで、酸素プラズマが固体惑星試料に与える影響及びその素過程を明らかにすることを目的としている。2024年打ち上げ予定の日本の宇宙探査機MMXがサンプルリターンを計画している火星の衛星フォボスでは、火星から流出する大気により今も酸素プラズマが降り注いでおり、過去の火星大気の流出過程が記録されている可能性がある。そのため、本研究の結果は、日本の火星衛星探査計画(MMX)の取得するデータの解釈に必要な基礎的な知見を与えると共に、火星がいかにして大気を喪失したかを理解する手がかりとなる。 当該年度は、固体惑星試料に酸素プラズマを照射可能な真空実験系の構築を行った。実験装置は固体惑星試料を配置する真空チャンバと酸素プラズマを生成する装置から成る。予算が執行可能となった2022年9月以降順次部品を購入し、設計した実験装置の組み上げを行った。最終的に組み上がった実験装置において酸素プラズマが生成・照射されることが可視分光測定によって確認され、実験装置の完成とした。また、実験試料として国際的に流通している模擬フォボス試料を国内の研究者より入手した。 これにより、世界で初めてフォボス上において火星流出大気由来の酸素プラズマによって進行していると考えられる宇宙風化反応について、室内再現実験を行うことが可能となった。2023年度は、生成した酸素プラズマの特性評価及び模擬フォボス試料を用いた照射実験を実施する。模擬フォボス試料の酸素プラズマの照射前後における赤外分光測定を実施し、酸素プラズマによる宇宙風化の影響評価と素過程の解明を進める。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度の目標であった、酸素プラズマ照射による宇宙風化実験装置の開発は完了したため、本研究はおおむね順調に発展している。国際学会発表を通じて海外の研究者と議論した結果、フォボス以外の固体惑星試料についても入手可能な算段が立ち、本研究の計画時は想定していなかった実験についても追加で検討を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
計画当初の予定通り、生成した酸素プラズマの特性評価及び模擬フォボス試料を用いた照射実験を実施する。模擬フォボス試料の酸素プラズマの照射前後における赤外分光測定を実施し、酸素プラズマによる宇宙風化の影響評価と素過程の解明を進める。
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