研究課題/領域番号 |
22K20383
|
研究種目 |
研究活動スタート支援
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0204:天文学、地球惑星科学およびその関連分野
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
鈴木 健士 京都大学, 理学研究科, 研究員 (20965123)
|
研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | 岩石比抵抗 / 空隙率 / デジタル岩石 / 砂岩 / 有限要素法 / マイクロフォーカスX線CT / 空隙形状 / 岩石物理モデル |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、既存の岩石物理モデルから推定される比抵抗を、岩石内部の空隙構造のCTデータを元にデジタル化した岩石(デジタル岩石)から計算される比抵抗と比較することで、従来では困難であった、岩石物理モデルが仮定する空隙形状とそれが導く比抵抗の確からしさの評価を行う。様々な岩種において最適な岩石物理モデルを提案するとともに、岩石の比抵抗を決めている最も支配的な要因に迫る。
|
研究実績の概要 |
本研究は、既存のモデルが仮定する岩石中の空隙構造とそれから算出される比抵抗の確からしさについて、デジタル岩石物理学を用いて評価することを目標としている。対象とする岩石は多孔質な岩石である。 2022年度は、代表的な多孔質岩石であるフォンテーヌブロー砂岩のX線CT画像データを用いて、空隙率8%から25%のデジタル化された岩石モデルを作成した。そしてそれらモデルに対し有限要素法による数値計算を実施し、モデルの境界に静電位を与えたときに生じる空隙構造中の電流分布を計算した。そこから、岩石全体の比抵抗を算出し、デジタル化された岩石モデルの空隙率と比抵抗の関係を調べた。さらに、空隙構造中の電流分布から、電流経路の屈曲度についても算出し、デジタル化された岩石モデルの空隙率とそこに流れる電球経路の屈曲度の関係も調べた。 その結果、空隙率の減少に伴う比抵抗の増加とそれに伴う電流経路の屈曲度の増加を確認することができ、電流経路の屈曲度は岩石の電気特性を説明する重要な因子のひとつとなり得ることを示した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画調書に記した研究計画における、デジタル岩石物理計算による岩石全体の比抵抗計算や、デジタル化した岩石を用いて抽出する物理量を用いての岩石物理モデルによる岩石全体の比抵抗の推定を行うことができたため。 加えて、その議論を砂岩以外の多孔質岩石に拡張するための準備については、阿蘇や別府の火山地熱地帯で採取された手元の岩石試料についてもマイクロフォーカスX線CT撮像を行い、数10μmの解像度でその内部構造を撮像することもできた。これらを用いてのモデルの作成と計算の準備も進めている。 これらの成果に関しては、国内の学会において研究発表を行い、成果を公表した。 一方で実験による研究については、世界的な半導体不足により測定機器の納期が延びていることの影響もあり、必要な測定機器を一部揃えることができていない。よって十分な実験を行うことができておらず、測定値と数値計算結果の比較は殆ど進められていない。 これらを総合的に判断して、「おおむね順調に進展している」と評価する。
|
今後の研究の推進方策 |
2022年度に撮像した火山地熱地帯で採取された岩石試料のCTデータも活用しながら、フォンテーヌブロー砂岩以外の多孔質岩石についても、空隙構造中に流れる電流分布の計算と、岩石全体の比抵抗・屈曲度の算出を行い、その結果はフォンテーヌブロー砂岩のそれとどう異なるのかを調べる予定である。そして、岩石によってモデルの適用可能範囲はどのように異なるのか、あるいは差異がないのか、を検証したい。また手元の岩石試料についてはその比抵抗を実験室で測定し、計算で得られた比抵抗と合致するかも検証を進めていきたい。
|