研究課題/領域番号 |
22K20384
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0204:天文学、地球惑星科学およびその関連分野
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
福田 航平 大阪大学, 大学院理学研究科, 助教 (80963462)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 隕石 / コンドルール / Ca-Al-rich inclusion / 短寿命放射性核種 / 二次イオン質量分析 / 原始太陽 / 宇宙線照射 |
研究開始時の研究の概要 |
原始太陽の活動は、現在の太陽に比べ桁違いに活発であったと予測されており、その変遷を読み解くことは、惑星の母体となった原始太陽系円盤の物質分布や化学組成の変遷を理解する上で重要である。しかし、現状の隕石分析法には技術上の課題があり、原始太陽活動度の理解は円盤進化タイムスケールにおける~10%に留まっている。本研究では、円盤進化の様々な段階で形成した隕石物質中の短寿命核種ベリリウム10存在度を正確に決定することで、円盤進化各ステージにおける原始太陽活動度を明らかにする。
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研究実績の概要 |
2022年度は、一次イオン源がアップグレードされた東京大学の二次元高分解能二次イオン質量分析計(NanoSIMS 50)の性能評価、および分析条件の最適化を実施した。ビームサイズと一次イオン強度の関係から、従来のイオン源に比べて約3倍高密度なイオンビームを生成できることを確認した。これにより、微小試料の迅速分析が可能となるため、単位時間あたりの取得データ数の増加が見込まれる。ひいては、本研究の肝となる物質形成当時のベリリウム-10とベリリウム-9の比率(初生10Be/9Be比)をより高精度で決定できると期待される。 本研究では隕石物質中の極微量元素の分析を実施するため、妨害元素や装置由来のノイズの影響を最小限に抑える必要がある。そこで、分析対象鉱物の化学組成を模擬した標準試料を準備し、複数の分析条件下においてバックグラウンド値の評価を行うことでノイズの影響を最小限に抑える分析条件を見出した。同条件下において、これまでよく研究がなされてきたAllende隕石に含まれる太陽系最初期の固体物質CAIのベリリウムとホウ素の比、ならびにホウ素同位体比の測定を行った。得られた結果をもとに算出した初生10Be/9Be比6×10^-4程度であり、先行研究の結果と概ね一致した。以上の結果から、分析確度の信頼性を担保しつつ、分析の迅速化(高精度化)を達成できたと判断した。得られた結果は、2023年度実施予定のコンドルールの分析結果と合わせて国際誌に投稿予定である。 2023年度の同位体分析に先駆け、測定を予定している隕石試料の一部について国立極地研究所設置の電子線マイクロプローブを用いた鉱物観察・化学組成分析を実施した。得られた測定結果から、鉱物晶出温度の推定を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度の分析に向けて、当初目的としていたホウ素同位体分析条件の検討を計画通り実施することができた。しかしながら、一部の分析予定試料の表面状態に問題があったため、現在試料の提供先にて修復中であることから、試料の最終観察・分析位置の決定は完了していない。試料の修復は2023年度中に完了する予定であり、予定通り年度内に分析できる見込みであるが、バックアップオプションとしていくつか始原的な隕石試料の観察・準備を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度に確立した分析条件のもと、目的としているコンドルールのホウ素同位体分析を行っていく。形成年代の異なるコンドルールの分析結果に基づき、コンドルール形成時の初生10Be/9Be比を決定する。得られた結果と2022年度に得られたCAIの結果を比較することで、初期太陽系太陽系におけるベリリウム-10存在度の変遷に関する情報を取得し、本研究の目的である円盤進化に伴った原始太陽活動の変遷について考察する。
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